(2024/5/27 05:00)
日中韓首脳会談が27日、ソウルで約4年半ぶりに開かれる。地域の平和と安定の重要性を確認し、未来志向の実務的な協力関係を築いてほしい。国際情勢が激しく変化する中、首脳会談を再開すること自体に大きな意味がある。日中韓は安全保障や経済で溝が深いものの、今回の首脳会談を3カ国の関係正常化に向けた一歩にしてほしい。
首脳会談には岸田文雄首相、中国の李強首相、韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領が出席する。2023年11月の日中韓外相会談では、人的交流や経済協力・貿易など6分野で議論を進めることで一致している。協力可能な分野で関係を深めたい。3カ国は東アジアの平和と安全に大きな責任を負っており、その重責を果たすことも確認する必要がある。
国際情勢の変化が激しい。中国は台湾の新総統に「一つの中国」原則を認めない頼清徳氏が就くと、台湾周辺での大規模な軍事演習で威嚇。ウクライナ情勢ではロシア経済を支える。中国の「核心的利益」である台湾問題や、緊密化する中ロ関係が国際秩序を脅かしている。
一方、米国は中国の過剰生産を警戒し、対中制裁関税を大幅に引き上げるなど、米中対立はますます先鋭化する。日韓も米国と歩調を合わせ、半導体などの先端技術では中国の切り離し(デカップリング)が進む。
今回の日中韓首脳会談では、経済安全保障に抵触しない自由貿易の推進や人的交流などの実務的な関係を強化し、安全保障をめぐる東アジアの緊張を緩和したい。経済が停滞する中国も日韓から投資を呼び込みたい思惑があるはずだ。日中韓の自由貿易協定(FTA)交渉の継続も議題となる見通しで、中国には公正な貿易ルールの順守も促してほしい。朝鮮半島の完全非核化や改善した日韓関係の維持・発展も確認してもらいたい。
他方、日米韓の首脳会談が7月開催で調整されている。中国が覇権主義的な動きを強める限り、日米韓は国際秩序の維持に向け結束を強めざるを得ない。対中国外交は「対立と協力」の均衡を維持することで、不測の事態を回避する必要がある。
(2024/5/27 05:00)
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