(2024/6/12 17:00)
日銀は13、14の両日、金融政策決定会合を開く。政策金利は0・1%と現状維持を決めると予想される一方で、国債買い入れの減額を議論するとみられる。月間買い入れ額のめどを6兆円から5兆円に引き下げるなど方向性を示す可能性がある。また市場では7月会合で利上げに踏み切るとの観測が高まっており、会合後の植田和男総裁による会見内容にも注目が集まる。
日銀は現在、月間6兆円程度の長期国債を買い入れている。これは月間の償還額と見合う額であり、長期国債の保有残高は590兆円程度でおおむね横ばいが続いている。仮に長期国債の買い入れ額を1兆円程度減らしても保有残高の大幅な削減にはつながらない。買い入れ方針を明確にすることで市場のボラティリティー(変動性)を抑える効果があるとみられる。
日銀は3月会合でのマイナス金利解除後、「金融政策の主な手段は短期金利になった」(植田総裁)としている。長期国債買い入れ策は長期金利急上昇時の機動的な措置など、補完的な役割にとどめている。日銀の国債買い入れ減額は、量的引き締めに関する踏み込んだ対応にはならない見通しだ。
4月会合後の植田総裁の発言が円安容認と市場で受け止められ、翌週には一時1ドル=160円台と34年ぶりの円安水準となった。政府の為替介入により150円台に戻されたが、日米金利差による円安圧力は依然として続いている。日銀が6月会合で国債買い入れ減額方針などを示さず、すべてを現状維持とした場合、円安が一時的に進むリスクもある。
市場では円安圧力を和らげるためにも7月会合で0・15%利上げし、政策金利を0・25%に引き上げる予測がある。日銀は賃金上昇が物価に反映される動きを慎重に見極めて追加利上げの是非を判断するとみられ、実施時期を見通しにくいのが現状だ。植田総裁が追加利上げの可能性を示唆するかどうか注目される。
(2024/6/12 17:00)
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