市販装置でできない実験を提供 アリオス、最先端分野で技術開発後押し

(2024/6/12 12:00)

アリオス(東京都昭島市、鈴木浩明社長)は、独自の超高真空技術やプラズマ生成技術を用いて、顧客のニーズに合わせた一品一様の研究開発用装置や生産装置を設計・製造・販売している。両技術は多様な産業の基盤技術であり、同社が新技術開発に携わる業界は次世代半導体や宇宙、自動車に気象など多岐にわたる。1972年の創業以来積み重ねた経験に基づく技術で顧客の期待に応える。

  • 引き合いが増えている「スペースチャンバー」。宇宙空間を模した環境をチャンバー内に再現し、宇宙環境模擬試験などを行える

顧客から「新技術開発のため、市販の装置ではできない実験をしたい」といった声が上がった時がアリオスの出番だ。基礎実験から要素技術開発、生産装置開発まで全ての段階に関わることもある。「技術の最先端を間近に見られる面白さがある」(鈴木社長)。

同社の技術の原点は真空管製造。半導体産業の隆盛とともに超高真空技術と真空成膜技術を蓄積し、近年は真空技術をベースとしたプラズマ技術に力を注ぐ。化合物半導体用の分子線エピタキシー(MBE)装置、液中プラズマ装置など多様な装置を手がけてきた。

顧客と綿密に意見交換しつつ、他社から調達した部品や自社製コンポーネントをアリオスが最適な設計で組み合わせて装置を製作するのが基本だ。「装置の機械技術と制御技術を担う二つの部署があり、設計全体を見られる点が強み」(石井哲治営業技術部長)となっている。

近年は自治体の支援もあり、ベンチャーの勢いが旺盛な宇宙分野が好調。売れ筋の一つが超高真空かつ冷暗黒の宇宙空間を模した環境を内径1メートル、長さ1・5メートルほどのチャンバー内に再現した「スペースチャンバー」だ。宇宙環境での模擬試験を行える。

自社製品であるダイヤモンド合成用化学気相成長(CVD)装置も伸びが期待される。プラズマがチャンバー室壁に接触しない独自構造により、半導体品質の単結晶高純度ダイヤモンドの合成実験ができる。実用化に向けて大面積化・高品質化を目指す。

今後も「研さんを怠らず、顧客と共に技術を高める会社でありたい」(鈴木社長)。技術への真摯(しんし)な思いが同社の歴史をつなぐ。

(2024/6/12 12:00)

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