(2024/6/24 16:30)
メトロ電気工業は、こたつ用ヒーターユニットをはじめ産業用・民生用ヒーター、加熱機械器具まで幅広く手がける。そんな同社が開発した高出力・多用途赤外線カーボンランプヒーター「オレンジヒート」が、このほど市村地球環境産業賞 貢献賞を受賞した。
産業の発展へ貢献した研究開発として
第56回市村賞で、メトロ電気工業の手がける「オレンジヒート」が市村地球環境産業賞の貢献賞に選ばれた。同賞では市村清新技術財団(東京都大田区、中村高会長)が、産業の発展、産業や学術の分野の進展に貢献した研究開発者を表彰する。
今回メトロ電気工業が受賞した市村地球環境産業賞は、2018年度に新設された賞で、地球温暖化防止に関する産業分野を対象に優れた国産技術を開発し産業分野の発展に貢献・功績のある技術に対して贈られる。
電化と高効率化で脱炭素社会の実現に貢献
産業分野における加熱工程は、石油やガスなどを用いた燃焼式熱源が一般的だが、二酸化炭素(CO2)排出量や熱損失、安全面などで課題がある。そこで燃焼式熱源の代替として同社が開発したのが、高出力・多用途赤外線カーボンランプヒーター「オレンジヒート」だ。
長年培った管球製造技術を応用し、放射率85%以上の超高純度炭素繊維でできた0・08-0・60ミリメートルの薄板を独自技術でフィラメントに加工し、石英管に不活性ガスとともに封入してある。産業分野における電化の課題である高温度帯の代替も可能で、既に電化している分野については高効率化で省エネとなる同ヒーターは、新たなイノベーション熱源としてカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)実現に貢献する。
産業から民生まで用途は幅広い
一般的なランプヒーターは、平方メートルあたり150キロワットの最高エネルギー密度だが、オレンジヒートは1200キロワット。それにより約2000度Cの高温設計を実現。ヒーターの高出力化で、従来ガスによる燃焼でないとたどり着けなかった高温領域の加熱工程の電化が可能となった。
既に電化している工程でも電気炉などのヒーターを置き換えれば、加熱を効率化でき省エネ、コスト削減に繋がる。また付帯効果として、均一で再現性のある加熱ができるため、作業者の熟練度に依存することがなくスキルレス化。燃焼加熱に比べ加熱したい部分だけ昇温できるため作業環境を改善できるメリットもある。今後も、脱炭素工業炉の普及などでオレンジヒートの活用の場は広がっていく。
民生用途では、家電メーカーのストーブやトースターでも採用されるなど幅広い用途で活用されている。また、自社製品であるこたつ用ヒーターユニットでも省エネタイプとしてラインアップ。もともと省エネの暖房手段であるこたつ。今後は、オレンジヒートを活用した新たなシリーズの発売も検討しており、光熱費が高騰する中、節約しながらも快適に暖を取れる、節電と省エネを実現する最新暖房家電として売り込む考えだ。
近年は、先端技術分野での採用や共同研究も増えてきた。オレンジヒート単体でも、今後もさらなる高温度化、高効率化に向けて挑戦は続く。
2005年に開発したオレンジヒートは世界各国で使用され、これまでに抑制できたCO2排出量は225万トン、ハイブリッド車100万台相当となる。持続可能な社会の実現を支える技術のひとつと言えるオレンジヒート。こたつ用ヒーターを売る“モノ売り”だった同社が、“熱売り”として「環境・社会・経済」に貢献する。
高出力・多用途赤外線カーボンランプヒーター「オレンジヒート」の詳細はこちらから
(2024/6/24 16:30)