社説/能登半島地震から半年 “省庁横断チーム”で復旧加速を

(2024/7/1 05:00)

能登半島地震の発生から、きょう1日で半年になる。政府は節目となる1日付で、省庁横断で復旧・復興を後押しする専門チーム「能登創造的復興タスクフォース」を発足する。職員100人以上が被災地に常駐するという。遅れている被災家屋の解体や水道の復旧などが進展すると期待したい。災害関連死を含む死者は2016年の熊本地震を超えた。防げた関連死はなかったのか。原因を詳細に分析し、教訓を今後に生かしたい。

政府の専門チームは被災家屋の解体・撤去やインフラ復旧のほか、輪島市の「朝市通り」などの再建も視野に入れる。岸田文雄首相も1日に被災地を視察する予定であり、現地の声に耳を傾け、被災者に寄り添った支援を継続して実施してほしい。

政府は6月28日に、24年度予算の予備費から1396億円を追加で被災地支援に充てることを決めた。間断のない予算措置と迅速な執行に努めてほしい。

石川県によると、避難者は今なお2000人超(6月27日時点)を数え、日常を取り戻せずにいる。応急仮設住宅は約5000戸が完成し、8月中には現時点で必要な6810戸に達するよう工事を進めるという。1日も早い完成を目指したい。

被災家屋の公費解体(国・自治体が解体費を負担)が遅れている。6月24日時点で解体申請が2万865棟に達しているのに対し、着手しているのは約1割の2601棟にとどまる。石川県は25年度末までに約244万トンの災害廃棄物の処理を目指している。政府の専門チームが中心となり、廃棄物の広域処理を推進し、被災地の復旧・復興への歩みを加速してほしい。

災害関連死を含む死者は299人となる見通しで、熊本地震の276人を上回る。関連死の認定で70人が見込まれ、救えた命はなかったのか悔やまれる。

石川県がまとめた復興計画案には、能登に定住しなくても、能登と継続的に関わる「関係人口」の創出・拡大が盛り込まれている。個人や企業が能登とどのように関わっていくのか、復旧と同時に復興についても震災半年を機に議論を深めたい。

(2024/7/1 05:00)

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