広木精機製作所、多様な社員でモノづくり 検査・洗浄に女性・シニア活躍

(2024/7/2 12:00)

広木精機製作所(茨城県常陸太田市、広木康則社長)は、家電や自動車、医療機器向け部品などの精密金属加工をする。従業員43人のうち半数以上が女性。主に製品の検査工程で活躍する。子育て中の地元の主婦が中心で、それぞれの都合に合わせて、勤務時間の調整も可能だ。柔軟な働き方ができる環境を提供する。シニア層も受け入れるなど工夫を続ける。広木社長は「全員が働きやすい場所に」と自信を持つ。

  • 多くの女性が出荷前の検査で活躍している

加工品の出荷検査の部門に女性を多く配属する。男性正社員1人に女性正社員4人、主婦を中心としたパート15人が広木精機製作所の検査担当だ。金砂郷工場(同市)で、数センチメートルほどの部品をルーペや照明を使い、細かく傷や寸法を確認する。必要に応じて顕微鏡などの専門機器で加工品を見て、良品か見極める。

パート勤務は、休憩時間を入れて9―15時の5時間勤労の週4日出勤を基本とする。幼稚園の送迎のほか、親の介護で時間調整の希望を出す従業員も多いという。出荷検査をするパート勤務者の管理も、女性が担当する。

自らも加工品の検査をしながら社員教育やシフト管理をする品質管理部の担当者は「女性同士の悩みを分かり合えることも多い」と管理者が同性である利点を話す。個人ごとの業務処理能力を見極めながら、最適な配置と配分を心がける。

1967年に広木康則社長の父が広木精機製作所を設立した。当時は主に大手メーカーから大量生産品を受注していたが、2000年代ごろから大手メーカーの部品の海外発注が本格化。同社も04年ごろから少量多品種生産に方針転換し、時代の潮流に合わせてきた。20年には、多様なニーズに応えるために増えた工作機械を設置するため、廃校の中学校を買い取り、金砂郷工場を完成させた。

  • 未経験のシニア層も生産効率化に貢献する

近年は加工工程にも女性が進出する。23年10月に機械オペレーターとして女性を1人採用した。現在は加工直後の製品の簡易的な検査を担当しながら、金属加工を勉強中だ。8月にも1人の女性が機械オペレーターとして入社予定。「加工工程を担当する“現場女性”が増えると、検査工程とのコミュニケーションも円滑になるだろう」(広木社長)と期待を膨らませる。

このほかシニア層の採用にも積極的だ。現在は他社で定年を迎えた60歳以上が6人在籍する。未経験でもできる工作機械の切り子の片付けやタンクの清掃、加工品の洗浄作業を任せる。自宅で過ごすのではなく、何かやりがいを求めて応募する求職者も多いという。多様な社員が茨城でモノづくりを続ける。

(2024/7/2 12:00)

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