- トップ
- ひと カイシャ 交差点
- 記事詳細
(2024/7/22 05:00)
掘削リスクの兆候捉える
(総合1から続く)化石や地層を見るのが好きで、千葉大学理学部地球科学科に入学。大学・大学院を通じ古生物学を学びました。顕微鏡で観察する微小な化石「微化石」の中でも、地質年代の指標となるプランクトン化石研究を専攻しました。
「仕事をするのなら自分の好きなことをしたい」と思い、地層や地質と縁の深いINPEXに就職しました。地質技術者の仕事は地下評価、地震探査データ解釈、埋蔵量評価など多岐にわたります。生産・油層技術者らと一緒に、シミュレーション作業も行います。掘削現場では常時、掘進中の地質を観測し、掘削リスクや油・ガスの兆候を察知できるよう目を光らせます。これまでイラク、ロシア、ノルウェーなど欧州や中東のプロジェクトに約4年半携わりました。アラブ首長国連邦(UAE)の国営石油会社での長期出張も経験しました。
どの現場でも自分一人では成り立ちませんでした。日本語が通じない環境下で多国籍の同僚と仕事をしました。UAEでは男女別の結婚披露宴にも招待され、友人から「新郎を見ずに帰る人も多い」と聞き驚きました。自分の専門とは違う分野の知識、文化を取り入れ、「いろいろな分野の話ができる人になりたい」と思っています。
今は東柏崎ガス田平井地区(新潟県柏崎市)の貯留層へ二酸化炭素(CO2)を圧入する実証事業を担当しています。これまでの石油・ガス開発のキャリアを生かし、脱炭素社会を目指す上で必要不可欠な技術を切り開きたいです。
妊娠中ということもあり、週末は夫と庭のバラ園の栽培に力を入れています。生まれてくる子どもには自分と同じように「夢中になれることを見つけてね」と伝えたいです。(文=菅谷仁、写真=高山基成)
◇INPEX CCUS事業開発本部技術開発ユニット 国内CCUSグループ シニアジオロジスト 阿部杏菜(あべ・あんな)さん
(2024/7/22 05:00)