(2024/12/5 05:00)
トランプ米次期大統領が、日本製鉄によるUSスチール買収計画を阻止する意向を表明した。全米鉄鋼労働組合(USW)の買収反対を受けた表明で、合理的な反対理由は一切示されていない。
日鉄は買収後も、USスチールの雇用と生産を守る。日鉄の高度な製鉄技術はUSスチールの収益基盤も強固にするはずだ。買収阻止はむしろ米国経済にマイナスだと、トランプ氏に訴え続ける胆力が日鉄と日本政府には求められる。
トランプ氏の言動は、大統領就任前から世界経済を脅かす。移民や不正薬物の流入を根拠に、メキシコとカナダに25%の追加関税を課し、新興国で構成するBRICSにも脱ドル化を進めれば100%関税を課す意向を示す。
「米国第一」のトランプ氏は国際経済秩序を混乱させる。中国はその混乱を見据えたように、欧州や日本との関係改善に積極的だ。西側諸国で国際協調が揺らぐ事態を、中国は歓迎する。
韓国の尹錫悦(ユンソンニョル)大統領が3日に宣布した非常戒厳。野党は憲法違反で内乱行為だとし、尹大統領に即時退陣を求める。国政の混乱で東アジアの安全保障が脅かされないか懸念される。強権主義国家の指導者を喜ばせる事態が相次いでいる状況を憂う。
(2024/12/5 05:00)