(2024/8/23 05:00)
日米の中央銀行トップによる23日の発言が注目される。米国の9月からの「利下げ」、日銀のさらなる「利上げ」が示唆されれば、為替相場は円安是正への大きな転機となる。ただ日銀は7月末の利上げと総裁発言が株価乱高下を招いており、慎重な発言にとどまるとみられる。米国も大統領選を控え、市場に大きな影響を及ぼす発言を控えるとの見方がある。両氏の発言の“行間”を金融市場はどう受け止めるのか注視したい。
世界の中銀総裁や経済学者、エコノミストらが集う経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」が22―24日(現地時間)の日程で米ワイオミング州で開かれ、23日(日本時間23時)に米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が講演する。
一方の日銀の植田和男総裁は23日、衆参両院の閉会中審査に参考人として出席する。7月末に追加利上げに踏み切った政策判断と株価の乱高下について、植田総裁の意見を聴取する。
金融市場は、米FRBによる9月の利下げを完全に織り込んでいる。パウエル議長自身が7月末に「9月の利下げ」の可能性に言及しているほか、7月の雇用統計も市場予測を下回って悪化したことが背景にある。同月の消費者物価指数の上昇率も2%台に下落。年内2、3回の利下げが見込まれ、米国経済が軟着陸に向かうと期待したい。
パウエル議長が今回の講演でどこまで金融政策に踏み込むかが焦点だ。ただ積極的な利下げの示唆は与党・民主党を利することになる。大統領選を意識した慎重な発言にとどまれば、為替相場が一時的に円安に傾く可能性があることに留意したい。
日銀は7月末の株価乱高下を受け、年内の利上げに慎重とされる。9月には自民党総裁選を控え、閉会中審査でも一段の利上げには言及しにくい。だが実質賃金のプラス転換は秋に定着し、経済好循環が回り始めると期待される。日銀は物価動向を慎重に見極めつつ、賃金も物価も金利も上昇する成長型経済への歩みを着実に進めてもらいたい。市場と対話を重ね、円高への移行も緩やかに行いたい。
(2024/8/23 05:00)
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