社説/自民党総裁選 “刷新感”にとどめず政策論争を

(2024/8/22 05:00)

自民党総裁選の投開票が9月27日に行われる。派閥なき今回の総裁選には、10人超が立候補に意欲を示す。多数の候補者による多様な政策論争が期待される一方、候補者の多さがむしろ政治改革を遅らせることにならないか心配だ。推薦人20人の争奪戦には派閥の後ろ盾が必要になり、政治資金問題には踏み込みにくい。2025年の衆・参院選で戦える「選挙の顔」を選択する総裁選に終始するのか、選挙戦の行方を注視したい。

他方、岸田文雄政権から引き継ぐ課題は少なくない。経済好循環の実現、原発再稼働などのエネルギー問題、外交、安全保障などについて、各候補は積極的に議論を戦わせてほしい。

今回の自民党総裁選は、麻生派を除く派閥解散決定後の選挙になる。派閥に縛られず、多くの立候補者が自らの意志や同志に推されて出馬する状況は健全と言える。同一派閥から複数人が立候補に意欲を示すケースも散見される。ただ、内閣支持率が停滞する岸田政権の看板をかけ替え、“刷新感”を演出するだけであれば、自民党に対する有権者の政治不信は拭えない。

改正政治資金規正法で残された検討事項を取りまとめる必要がある。政策活動費の支出をチェックする第三者機関の制度設計などは手つかずのままだ。次期総理・総裁は政治資金の透明化につながる対策を講じられるのか、有権者は総裁選後の政権の取り組みこそ注視が必要だ。

デフレからの完全脱却が待たれる。6月の実質賃金は27カ月ぶりに前年比で増加に転じた。次期総理・総裁はこの流れを定着させる経済財政運営が求められる。成長型経済への移行を確実に実現してもらいたい。

新たなエネルギー基本計画が24年度中に決まる。岸田政権の政策を引き継ぎ、原発を最大限活用し、脱炭素と安定供給の両立を図りたい。各候補は総裁選で見解を示してもらいたい。

総裁選は告示から投開票まで15日間と過去最長になる。防衛費と少子化対策の財源確保、対中・対北朝鮮問題などの外交も含め、山積する課題について論戦を深める時間はあるはずだ。

(2024/8/22 05:00)

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