社説/技能五輪国際大会が開幕 モノづくり担う若者の熱戦期待

(2024/9/10 05:00)

第47回技能五輪国際大会が10日、フランス・リヨンで開幕する。過去最多の69カ国・地域から1360人の選手が参加し、日本は55人が47職種の競技に臨む。モノづくりを担う世界の若者による熱戦、中でも日本選手の活躍に大いに期待したい。日本の若手技能者のさらなる技術向上はもとより、技能者の確保・育成を促す契機にもしたい。

国際大会は2年に1度開催され、参加国の職業訓練の振興や青年技能者の国際交流を図っている。今回のリヨン大会は11―14日に競技を行い、15日の閉会式で競技結果が発表される。直近の国際大会では、中国が金メダル数で3大会連続で1位、それまで韓国が4大会連続1位だった。日本の1位は2007年の静岡大会までさかのぼる。

日本選手は大会に先立つ5日に厚生労働省で会見し、「最後の1秒まで諦めない」「本番でいかに力を出し切るかが大事」「支えてくれた人に良い報告がしたい」と決意を語っていた。日頃の実力を存分に発揮し、晴れの舞台で躍動してほしい。

前回の第46回大会はコロナ禍の影響で開催が1年延期され、開催地も中国・上海から15カ国・地域の分散開催だった。今大会では世界の若き技能者がリヨンに集う。国際交流を通じ、技術や技能のみならず、多様な価値に触れ合う機会にもしたい。

国際大会は、産業革新などに伴い競技種目も変化している。前回の46回大会からは、3Dプリントや再生可能エネルギー、光電子技術、モバイルアプリケーション開発などの競技が追加された。再生可能エネルギーは発電装置の設計、設置、保守などを競い、前回大会では日本選手が金メダルに輝いた。新たな領域でも、日本の技術力を引き続き世界に示してもらいたい。

ITや人工知能(AI)が進化しても、技能・技術者の重要度が変わることはない。日本は少子化の進行で技能者が減少し、技能伝承が途絶える事態が懸念される。世界の青年技能者の熱戦を通じ、多くの子どもや若者がモノづくりに興味を持ってほしいと願う。企業による積極的な人材投資にも期待したい。

(2024/9/10 05:00)

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