社説/原発再稼働と新増設 「安定供給」「脱炭素化」へ推進を

(2024/11/4 05:00)

原子力発電所の再稼働が相次ぐ。10月29日の東北電力女川原発2号機に続き、12月には中国電力島根原発2号機が再稼働を予定する。他方、11月14日に運転開始から50年となる関西電力高浜原発1号機は、50年超の運転が国内で初めて認可された。安全確保と地元理解を前提に、脱炭素とエネルギー安定供給に資する既存原発の最大限の活用を推進したい。自民・公明両党が部分連合を目指す国民民主党も原発政策に前向きで、新増設の議論も深めてもらいたい。

女川原発2号機は、2011年の東日本大震災で被災した原発として、また東日本の原発として初の再稼働となった。全国では13基目になる。東日本での安定供給、さらに西日本との料金格差是正への契機としたい。女川原発2号機と12月に再稼働する島根原発2号機はともに沸騰水型軽水炉(BWR)。安全運転の実績を重ね、同じ型である東京電力柏崎刈羽原発7号機の再稼働にも弾みを付けたい。

他方、高浜原発1号機が10月16日、国内初となる50年超の運転を認可された。25年6月には改正電気事業法が施行され、60年超の運転も可能になる。安全に万全を期し有効活用したい。

日本はエネルギー問題で複数の課題を抱える。脱炭素化や経済安全保障にとどまらない。人工知能(AI)の普及などで電力消費が急増する。原発の最大限の活用は、電力自給率1割程度の日本には現実的な選択だ。

無論、原発再稼働は安全を大前提に地元同意が必要である。津波を想定した防潮堤や屋内退避施設・避難路の整備が欠かせず、地元同意も政府が先頭に立って取り組んでほしい。使用済み核燃料の最終処分地の選定も併せて進めなければならない。

政府は24年度中に新エネルギー基本計画をまとめる。現行の計画では、30年度の電源構成で原子力20―22%としたが、22年度は5・5%に過ぎない。40年度を見据えた新計画では、原発の老朽化も勘案すると次世代革新炉が必要になる。新設にかかる巨費をいかに確保するか、建設費を電気料金に上乗せする政府案も含め議論を深めたい。

(2024/11/4 05:00)

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