(2024/11/12 05:00)
衆院選を受けた第215特別国会が11日召集され、衆参本会議で石破茂氏が第103代首相に指名された。同日発足した第2次石破内閣は「内憂外患」を抱えながらの再出発となった。政治基盤が弱い少数与党として懸案の政治改革や物価高対策、日本経済の再生にいかに臨み、国際秩序が揺らぐ世界とどう向き合うのか。国内外に難題が待ち受ける厳しい船出となる。
少数与党の自民・公明両党は国民民主党との部分連合に頼らざるを得ない。27の衆院委員長ポストも、野党が予算委員長をはじめ12を占め、野党配慮の国会運営を迫られる。国民民主党は自公と経済政策で協調を探るものの、政治資金問題では自民党への追及を強め、公明党も自民党に「けじめ」を求める。
来夏の参院選を見据え、自民党が政治改革に本格的に動くと期待したい。石破首相は政策活動費の廃止、政治資金を監視する第三者機関の早期設置、調査研究広報滞在費(旧文通費)の使途公開を掲げる。政治資金規正法の再改正に早期に道筋を付け、国内外に山積する政策課題に集中できる環境を整えたい。
経済好循環の実現が喫緊の課題になる。経済対策は裏付けとなる2024年度補正予算が前年度の13兆円を上回る額を想定する。財政規律に配慮しつつ、実質賃金のプラスを定着させたい。国民民主党が求める「年収103万円の壁」の見直しはただ追従するのでなく、効果や財源の議論を深めてもらいたい。
年金制度改革とエネルギー基本計画の策定も控える。年金制度は将来不安の払拭と同時に、労働参加を促す内容に見直す必要がある。エネルギーも原子力発電を最大限に活用するなど、脱炭素と安定供給を両立する電源構成を打ち出してほしい。
トランプ米政権が25年1月に誕生する。“二つの戦争”と米中対立の不確実性が高まり、米国の自国第一が国際秩序を脅かしかねない。米国の保護貿易の行方も気がかりだ。石破政権は少数与党ゆえに緊張感のある国会審議を重ね、野党の主張にも耳を傾けることで内憂外患への最適解を模索し続けてほしい。
(2024/11/12 05:00)
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