サンシン電機、BCP徹底 資金・DX・通信環境整備

(2024/12/12 12:00)

  • スターリンクの導入で通信途絶に備える

サンシン電機は半導体や電源など電子機器向けに製品を供給する。専門商社機能に加えて、設計製造・品質管理まで一貫体制を敷く。サプライチェーン(供給網)に不可欠な製品を取り扱うため、事業継続計画(BCP)を徹底してきた。

大規模災害時の企業のリスクの中でも資金調達は最重要課題だ。そこで同社は2023年に商工中金と「災害対応型コミットメントライン契約」を締結。通常のコミットメントラインと違い、「商品の特性上、災害発生時に金融機関は貸し付けの義務を負う」(川口あすみ執行役員)。従業員の安否・安全確認、被害状況の把握後、速やかな復旧資金の迅速な確保は信用補完の意味でも大きい。

同社は従来からBCPを積極的に進めてきた。11年の東日本大震災を受けて社内組織「エンタープライズ・リスク・マネジメント(ERM)」を設置。経営トップと役員が経営戦略に併せて全グループのリスクを管理する体制を構築した。

また、石井宏宗社長は「デジタル変革(DX)自体がBCP」とし、情報の見える化・共有化から生成人工知能(AI)の利用までDXを推進。通信網途絶を念頭に米スペースXの低高度衛星を利用した「スターリンク」を各拠点に設置し、9月の試験運用も「快適に利用できた」(川口執行役員)という。

同社はパナソニック創業者の松下幸之助氏が提唱した、困難に備える「ダム経営」を経営の基本に据える。「生産性向上」「資金繰りの安定」「省人化」を強力に進める組織、人員、DX、金融など総合的な視点で強固なBCPを築いている。

(2024/12/12 12:00)

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