- トップ
- 科学技術・大学ニュース
- 記事詳細
[ 科学技術・大学 ]
(2017/10/25 05:00)
産業技術総合研究所工学計測標準研究部門の藤井賢一首席研究員らは24日、シリコン単結晶の球を原子一つ一つのレベルで高精密に計測し、質量を再定義する値を決定することに成功したと発表した。この値が国際単位系(SI)に反映される。早ければ2018年の国際度量衡総会(CGPM)で再定義が可決され、19年に施行される。キログラムの定義改定は約130年ぶりとなる。
現在は世界で唯一の国際キログラム原器に依存している。しかし長期的に汚染などで質量が変わるため、CGPMでは将来、原器を廃止して、基礎物理定数の一種「プランク定数」に基づいた値にキログラムを再定義するように決議していた。
産総研では、質量を精密に求めるために1キログラムシリコン単結晶球の体積を精密に測定。直径94ミリメートルの球を0・6ナノメートル(ナノは10億分の1)の精度で計った。これは原子と原子の間の距離に相当する。
重さと体積とシリコンの格子定数などを組み合わせ、プランク定数を算出した。精度は1億分の2・4。同様に算出されたカナダなどの八つのプランク定数を加味して、国際科学会議の委員会が高精度プランク定数を決めた。
質量標準が原器から基礎物理定数に変わると、計測技術があれば誰でも質量標準を設定できるようになる。
(2017/10/25 05:00)