(2021/1/20 05:00)
政府が緊急事態宣言で目標とする出勤者数の7割削減は、雇用の約7割を占める中小企業でのテレワークがカギになる。先行事例やノウハウを共有し、実施に踏み出したい。
東京商工会議所が2020年11月にまとめたアンケートによると、都内のテレワーク実施率は約53%で、前回調査(5月下旬―6月上旬)に比べ約14ポイント減少。「生産性の低下」などを理由に「一時期実施していたが取り止めた」企業は約22%に上る。
横引シャッター(東京都足立区)は工場でテレワークを導入した。社員の意見をもとに、滑車への部品のはめ込みや成形品のバリ取り、検品など自宅でもできる業務を切り出した。出勤者の減少は以前から進めてきた多能工化で補っている。
光通信用コネクター製造の白山(金沢市)は、社長が全社員約100人とオンラインで「1on1ミーティング」を始めた。社長は聞き役に徹する。率直に発言できるよう、会話内容は社内に一切口外しないのがルール。社員は社長との距離感が縮まり、会社への信頼感の醸成に一役買っている。社長は工場のボトルネックを把握しやすくなったという。
配管補修材製造の折原製作所(東京都荒川区)は、注文書や見積書を作成する営業業務で交代制によるテレワークを可能にした。前回の緊急事態宣言下では実施期間が1月半に及び、未就学児のいる女性社員は仕事と育児の両立で疲弊した。その反省から今回は2人1組みで期間をストレスがたまりにくい2週間とした。
各社に共通するのは中小製造業にテレワークはなじまないという固定観念を持たず、試行錯誤しながら徐々に導入範囲を広げている点だ。社員の安心感や自己肯定感を高め、生産性向上につなげている。折原製作所は育児や介護を抱える世代の定着や採用で好影響が出ている。
中小製造業でもトップの熱意と工夫次第でテレワークを企業力の強化に生かせる証左といえるだろう。能動的な取り組みでコロナ禍を災害対策と働き方改革を前進させる糧にしたい。
(2021/1/20 05:00)
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