(2021/1/27 05:00)
苦しい中でも変革に努力する方法を模索してほしい。
外食産業をはじめとする日本のサービス産業は、以前から製造業に比べて生産性が低いと指摘されてきた。人手不足や高齢化を背景に、ようやくロボットの導入機運が高まった。そこに新型コロナウイルス感染症が直撃した。
2度目の緊急事態宣言による営業時間短縮などの措置に対し、協力した事業者に補償をするのは当然だ。とはいえ緊急避難にばかり目を向けると、省人化や業務効率向上の歩みが止まり、サービス産業の改革が大きく遅れてしまうことになる。
コロナ禍を機に高まった3密回避や時短、在宅勤務などの流れは、ワクチン接種が順調に進んだとしてもしばらくの間、続くだろう。外食大手の中には、こうした変化に対応して居酒屋・レストラン業態から宅配・持ち帰り業態へ転向して成功している例がある。ロボットや食品機械を活用して持ち帰りできる食事を作り置きし、低価格で提供できる体制をとれば成功の確率は高いだろう。
また料理レシピの発信や出張料理サービスに活路を見いだしているケースもある。IT機器や移動調理装置など新たな投資が必要だ。さらに当分の間、集客が見込めないとして閉店の道を選び、業種転換やビルの建て直しなど抜本的な対策に乗り出した事業者もある。
事業環境が大きく変わったのに、従来の経営スタイルをそのまま続けるのは賢い方法ではない。需要の低迷によりブランド牛肉や農産物価格が下落している現在は、同じ飲食業の中でも新たなビジネスを開拓するチャンスともいえる。
外食産業には零細な事業者が多く、生活支援的な給付ばかりに関心が集まる。コロナを乗り越えることが第一には違いないが、すべての事業者の一律救済は難しい。
経済産業省はコロナ時代に対応した新分野への展開や業態転換、IT導入などを進める企業を補助金などで支援する方針。コロナ収束後をにらみつつ、変革に取り組む姿勢も必要だ。
(2021/1/27 05:00)
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