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(2022/2/10)
カテゴリ:商品サービス
リリース発行企業:株式会社アダコテック
~ 複数の欠陥分類を自動化し検査データを活用した良品率の向上に寄与 ~
「高次局所自己相関(HLAC)特徴抽出法」※1を用いた画像解析によりモノづくりの検査・検品の自動化を促進する株式会社アダコテック(本社:東京都千代田区、代表取締役:河邑 亮太、以下、アダコテック)は、欠陥の種類を判別・分類可能な技術を開発し、2015年より提供を開始した不良品判定のシステムの拡張機能として、2022年2月より本格提供を開始しました。また、本技術は2021年に先行して本田技研工業株式会社(以下、本田技研)に導入をいただいており、本事例を2022年1月の精密工学会にて発表しましたので、お知らせいたします。
アダコテックは、国立研究開発法人産業技術総合研究所(以下、産総研)が開発した「HLAC特徴抽出法」※1を用いた画像解析技術を軸に、従来よりも効率的な異常検知を可能とするソフトウェアを提供しているテクノロジーカンパニーです。検査・検品シーンの課題解決によって製造業の生産性向上の一翼を担い、日本のみならず世界のものづくりに革新をもたらすべく尽力しています。
この度、新たに追加提供を開始した機能は、自動検査時に不良と判定した部品の欠陥の種類を即座に判別し分類するソリューションです。
◆開発背景
外観検査は、不良品の流出を防ぎ、製品品質の向上に重要な役割をもちますが、本来の目的は、不良が発生した原因を突き止め最終的に不良の発生を防ぐことです。製品に不良が起きた時刻や不良の種類、その傾向などをデータ化することで、製造工程へのフィードバックが可能となり品質向上に期待ができます。
しかし、目視検査の現場において、例えば傷・クラッキング・打痕などのように、不良の種類までその場で判定・記録するには熟練した技術が必要であり、限られた検査員のみが専門的に対応しているという現場が少なくありません。またそのような検査員がいる現場であっても、製造工程の一時的な緊急対応に留まっており、不良の種類から原因を分析することは困難でした。製造業全体の人材不足や技術継承が課題となっている昨今、検査自動化に付随するニーズの一つとして「欠陥分類をしたい」という声は多く寄せられていました。
◆アダコテックの欠陥分類技術の特徴
今回、アダコテックは「HLAC特徴抽出法」をコアとした欠陥識別技術を開発しました。従来のディープラーニングでは、欠陥判別モデルを作るために1種類の欠陥につき数千枚もの学習サンプル(不良品画像)が必要となり、データ収集に膨大な時間を要する点が課題となっていました。加えて、その膨大な学習サンプルをベースに複雑なモデルを最適化するため、計算時間も掛かります。
これらの課題解決に向け、アダコテックは、画素値(各画素の色の濃淡や明るさを表す値)の単純な積和演算のみで効果的に画像認識を行う特徴量を瞬時に計算するアプローチにより、数十枚程度の少ない学習サンプルで容易にかつ高速にモデル作成を行う欠陥分類技術を開発しました。
◆導入事例
今回、精密機械工学会では、本田技研のシリンダスリーブの外観検査自動化の事例を発表いたしました。本田技研の製造するシリンダースリーブは筒状のエンジン部品で、表面に細かく無作為に凹凸があるのが特徴です。検査現場における主な課題は、1.表面に無作為な凹凸があるため、従来の技術を使っての検品では誤報(良品を不良品と判定)が発生しやすいことからこれまで自動化が叶わなかった、2.様々な種類の不良があるものの、目視による検品では欠陥の分類や記録を瞬時に行うことが難しく製造工程へのフィードバックができなかった、という2点が挙げられます。これらの課題を踏まえ、欠陥の検出および欠陥の分類を自動化することを目的に本システムの導入をいただきました。
本件においてアダコテックは、「HLAC特徴抽出法」をベースに複数のフィルタ処理を加えた判別モデルを作成し、対象の欠陥検出および分類を行うソリューションを提供しました。一つ目の課題である検出率においては、競合他社の欠陥検出率が100%に届かない中、アダコテックの技術を活用したモデル検証においては欠陥検出率100%を達成し、見逃しゼロを実現することができました。また、二つ目の不良分類精度についても他社よりも高い88%を実現し、検査データを活用した良品率の向上が期待されています。
アダコテックは今後も国内外の自動車業界を中心に当社技術の普及を進め、高い品質が求められる難易度の高い外観検査の自動化を図り、定量的な検査による製品の品質保証の向上、工場全体の生産性の向上の一助となる技術提供に努めます。また、AIと人の共創により、業界が抱える人材不足・技術の継承難という課題解決に取り組み、「モノづくりの進化と革新を支える」というビジョンを実現していきます。
なお本件の発表内容の詳細については、公益社団法人精密機械工学会が運営する「画像応用技術専門委員会」の2021年度第5回定例研究会バックナンバーよりご確認いただけます。
※1 HLAC特徴抽出法:画像の解析や認識等に用いられる認識精度に優れた汎用かつ高速な特徴抽出法。検査対象の形状や大きさを計算する際、複雑な処理を行うDeep Learning技術とは対照的に、画素値(各画素の色の濃淡や明るさを表す値)を積和演算するのみで算出可能なので、市販PCで瞬時に計算できる。また、位置不変性(認識対象の位置が変わっていても同じものだと認識できること)及び、加法性(対象が2つある場合にそれぞれの特徴の和が全体の特徴となること)という特性から、画像のなかで同じものを表す領域の境界線を見つける必要がないことや(セグメンテーションフリー)、画像に複数の異常が発生した場合も個別に特徴を認識することができるといった、画像認識にとって好ましい性質を備えた特徴抽出法である。
■ 株式会社アダコテック
本社所在地:東京都千代田区神田小川町3-28-5 Axle御茶ノ水302
代表者 :代表取締役CEO 河邑 亮太
設立 :2012年3月
資本金 :1億円(資本準備金含まず)
事業内容 :製品検査・検品の自動化
URL :https://adacotech.co.jp/
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