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ジェイテクト、素粒子「ミュオン」の生成にジェイテクトの特殊環境用軸受が貢献

(2022/6/29)

カテゴリ:商品サービス

リリース発行企業:株式会社 ジェイテクト

ジェイテクト、素粒子「ミュオン」の生成にジェイテクトの特殊環境用軸受が貢献

高耐熱・高耐久性を誇る特殊環境用軸受の性能が、J-PARCが取り組む安定的なミュオン生成に貢献

株式会社ジェイテクトの特殊環境用軸受「EXSEV(R)-WS」が、大強度陽子加速器施設(J-PARC)において、大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構(KEK)物質構造科学研究所が開発するミュオン回転標的に採用されました。


株式会社ジェイテクト(本社:愛知県刈谷市、社長:佐藤和弘、以下「ジェイテクト」)の特殊環境用軸受「EXSEV(R)-WS」が、大強度陽子加速器施設(J-PARC)において、大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構(KEK)物質構造科学研究所が開発するミュオン回転標的に採用されました。ジェイテクトの高耐熱・高耐久性を誇る特殊環境用軸受の性能が、J-PARCが取り組む安定的なミュオン生成に貢献しています。

【ミュオン粒子とその生成方法について】
ミュオンとは、電子と同じような性質を持ちながら約200倍の質量を持つ素粒子です。1936年に宇宙線の中で発見されました。ミュオンは透過性の高さから、これまで火山やピラミッド、原子炉などの透視に成功するなど、ミュオン透視技術は大きな注目を集めています。
J-PARCにおいては、加速した陽子ビーム※を黒鉛製のミュオン回転標的に照射することで世界最高の質と強度を誇るミュオンを生成し、物質の構造を解明する物質生命科学や物質の根源を探求する基礎物理学に関わる研究に活用されています。
※陽子ビーム:原子を構成する粒子のうち正の電荷をもつ陽子が細い流れのように並進したもの。J-PARCでは三台の加速器を駆使して、数兆個から数十兆個もの塊となった陽子ビームを、光とほぼ同じスピードになるまで加速している。

【ミュオン生成におけるジェイテクトの貢献】
ミュオン回転標的におけるミュオンの生成は高温・真空・高放射線場という過酷な環境下で行われるため、これまでの先行研究ではミュオン回転標的に使用される軸受が一年以内に破損するという問題がありました。そこで、ジェイテクトは2014年にEXSEV(R)-WSをJ-PARCに採用いただき、現在に至るまで長期に渡り、ミュオン回転標的の安定的な稼働に貢献しています。
この結果を受け、J-PARCと国際共同研究を行っているスイスのポールシェラー研究所(PSI)にもEXSEV(R)-WSを採用いただき、2021年12月には一年間の安定的なミュオン回転標的の連続運転を達成されました。
EXSEV(R)-WSは、耐荷重性に優れており、高温・真空環境下にも適した軸受です。保持器を用いず、二硫化タングステン系自己潤滑複合材のセパレータによって玉を等間隔に保持しています。セパレータに含有された二硫化タングステンは耐熱350℃と耐熱性が高く、優れた潤滑寿命を有しています。

【特殊環境用軸受「EXSEV(R)-WS」のスペック】

・潤滑剤に二硫化タングステン系固体潤滑剤を採用することで耐熱性・耐荷重性が要求される真空環境に適応
・圧力 :10⁵Pa(大気圧)~10⁻⁵Pa(高真空)
・ 温度:-100℃~350℃
・ミュオン回転標的に採用されたEXSEV(R)-WSの寸法
d(内径):17mm  D(外径):40mm  B(幅):12mm

【J-PARCのミュオン生成エリアと回転標的】
ミュオン生成エリア:保守エリアの床面(橙色)から2.4 m低いビームラインにミュオン回転標的を設置。左下から右上に向かう陽子ビームの経路上に設置されたミュオン回転標的でミュオンが生成。四方向(写真撮影時は三方向のみ)の紫色の電磁石で実験室に取り出される
ミュオン回転標的:陽子ビームによって黒鉛標的上に発生する熱や損傷を回転で分散させています
【ご参考】
・KEK、J-PARC連名プレスリリース
http://www.j-parc.jp/c/press-release/2022/05/20000960.html

・J-PARC所在地
茨城県那珂郡東海村大字白方2番地4
https://j-parc.jp/c/index.html

【今後について】
ジェイテクトは、今年4月にすべての事業ブランドをJTEKTに統一しました。ブランド統一によりグループ・事業間のシナジーを更に高め、ミュオン生成などの知のフロンティアを開拓する基礎研究の分野も含めた、すべてのお客様にとってNo.1&Only Oneの存在を目指してまいります。

【今回の開発品を通じて貢献可能なSDGsの目標】



8.4 2030年までに、世界の消費と生産における資源効率を漸進的に改善させ、先進国主導の下、持続可能な消費と生産に関する10年計画枠組みに従い、経済成長と環境悪化の分断を図る。
12.5 2030年までに、廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再使用により、廃棄物の発生を大幅に削減する。

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