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(2022/12/9)
カテゴリ:商品サービス
リリース発行企業:独立行政法人製品評価技術基盤機構
~地域一帯に影響を及ぼす停電事故を未然に防止~
独立行政法人 製品評価技術基盤機構 【NITE(ナイト)、理事長:長谷川 史彦、本所:東京都渋谷区西原】が事務局を務める「スマート保安プロモーション委員会」は、一般財団法人 関東電気保安協会と 株式会社 三英社製作所が共同開発した『高圧絶縁監視機能搭載SOG制御装置による絶縁劣化の予兆検知技術(技術区分:IoTセンサー)』 について、停電事故の予兆検知につながる有効な技術として評価しました。本技術は、「スマート保安技術カタログ(電気保安)第5版」に掲載し、2022年12月9日よりNITEのホームページで公開しています。
スマート保安技術カタログ >>https://www.nite.go.jp/gcet/tso/smart_hoan_catalog.pdf
(本技術は、要素 00003-P1(資料1.1)~要素 00003-P8(資料3)に掲載)
当委員会で本技術の妥当性評価を行い、 電気保安品質の経済的かつ効果的な向上が期待できることが認められました。これにより事業者は、高圧地絡停電事故の予兆検知や無停電年次点検の導入が可能となります。
図1 システムの概念図
「高圧絶縁監視機能搭載SOG制御装置による絶縁劣化の予兆検知技術」について
背景
高圧受電設備で地絡事故による停電が発生すると営業や生産が停止して経済的な損失だけでなく、社会活動にも少なからず影響を与えます。地絡事故の多くは設備の経年劣化などによる絶縁低下が原因で、事故に至る前に部分放電や急激な絶縁抵抗の低下等の前兆現象が見られることから、これらの地絡事故の前兆現象をいち早く検知する技術の開発が求められていました。
技術の概要
本技術は、需用設備で地落事故が発生した際に外部配電網へ事故が波及することを防止するために設置された、受変電設備と高圧地中配電線との間に設置されている絶縁監視機能搭載地中線用GR付高圧交流負荷開閉器(UGS/UAS)についての技術です。
図3 絶縁監視機能搭載SOG制御装置(過電流ロック機能付き地絡継電器)
図4 絶縁劣化及び微地絡検出領域の図解
本技術を用いることにより、従来のSOG制御装置(地絡)の検出範囲(赤枠)に加え、放電性の微地絡(黄枠)及び長期的に進行する絶縁低下(青枠)まで検出範囲が広がります。(従来の検出範囲より、微小な零相電流Io及び動作時間領域で絶縁低下や微地絡を検出する事が出来ます。)
関東電気保安協会 及び 三英社製作所は、フィールド試験を継続・拡大するとともに、更なる地絡予兆検出の向上を目指し、AIを活用した地絡判定機能の研究開発を行っています。
スマート保安プロモーション委員会について
電気保安の現場では、需要設備の高経年劣化や電気保安人材の高齢化・人材不足、台風や自然災害など様々な課題を抱えています。こうした課題の解決に向け、NITEは経済産業省からの要請を受けて、スマート保安プロモーション委員会を立ち上げました。
スマート保安プロモーション委員会では、学識経験者等からなる委員が、申請のあった保安管理技術案件の代替性・実効性・経済性などを評価します。また、評価されたスマート保安技術の導入・普及を阻害する要因があれば、その対応策を検討し、国や業界団体への提言も行っています。
図2 スマート保安プロモーション委員会の位置づけ
※出典:「電気保安分野 スマート保安アクションプラン」(経済産業省)
https://www.meti.go.jp/shingikai/safety_security/smart_hoan/denryoku_anzen/20210430_action_plan.html
スマート保安プロモーション委員会 >>https://www.nite.go.jp/gcet/tso/smart_hoan_shiryo.html
スマート保安技術カタログについて
スマート保安プロモーション委員会による評価の結果、スマート保安技術として妥当と判断されたものは、スマート保安技術カタログに掲載し、NITEのホームページ上で公開しています。本カタログは、電気設備の設置者等が保安技術導入・促進を検討する際の参考資料として活用されることを目的としたもので、「高圧絶縁監視機能搭載SOG制御装置による絶縁劣化の予兆検知技術」は、今年11月に公開した下記の4案件に続く第5号案件です。
2022年7月8日配信のプレスリリース(第1号案件)
「国内初となるスマート保安(電気保安分野) の技術カタログを公開」
>>https://kyodonewsprwire.jp/release/202207063466
2022年7月29日配信のプレスリリース(第2号案件)
「IoTを活用した高圧電気事故の予兆を検知する技術「スマート保安技術カタログ」第2号案件を公開」
>>https://kyodonewsprwire.jp/release/202207254258
2022年10月28日配信のプレスリリース(第3号案件)
「遠隔常時監視で受変電所の法令点検を大幅削減、 新たな「スマート保安技術 第3号案件」を公開」
>>https://kyodonewsprwire.jp/release/202209086149
2022年11月30日配信のプレスリリース(第4号案件)
「回転機械の故障予兆を早期に検知できる「スマート保安技術第4号案件」を公開」
>>https://kyodonewsprwire.jp/release/202210268824
スマート保安技術カタログ >>https://www.nite.go.jp/gcet/tso/smart_hoan_catalog.pdf
NITEにおける電気保安の課題解決に向けた取り組み
NITEでは、経済産業省からの要請を受け、電気保安行政(電気工作物の設計、維持、運用等における安全を確保するため行政活動)を技術面から支援するため、2020年5月に電力安全センターを新設しました。NITEがこれまで培ってきた知識や経験を活用し、経済産業省や関係団体と連携しながら、新しいスマート保安技術の普及啓発活動や規制見直し等の提言を行うなど、電気保安の維持・向上に資する様々な業務に取り組んでいます。
NITE電力安全センターの業務紹介 >>https://www.nite.go.jp/gcet/tso/index.html
用語解説
【スマート保安】:
IoT やAI などの新技術を導入し、産業保安における安全性や効率性の向上を図っていく取組みのことです。
スマート保安の説明 >>> https://nite-gov.note.jp/n/n91734ca4bbb3
【絶縁】:
電気設備における絶縁とは、外部に電流が流れない状態のことです。例えば、ケーブルの場合、内部の銅線に流れる電流は皮膜を介して絶縁されているため、外部に触れても人体に電流が漏えいすることはありません。
【地絡事故および微地絡】:
電気回路(電線等)が地面に接触し、大きな電流が流れる現象のことです。電流が小さい場合は微地絡と呼ばれ、地絡事故の前兆現象(予兆)として発生する現象です。
【地絡停電事故】:
地絡事故が発生した場合、配電線から需要設備へ大きな電流が流れます。その電流を開閉器と呼ばれるスイッチを用いて電流を遮断する事で停電が発生します。この停電は地絡停電事故と呼ばれます。
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