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(2024/11/14)
カテゴリ:商品サービス
リリース発行企業:日本IBM
世界で最も高性能な量子ソフトウェアであるQiskitは、IBMの量子コンピューター上で正確な結果を得ながら、特定の回路の長さと複雑さを5,000回の2量子ビット操作に拡張可能に
理化学研究所とクリーブランド・クリニックは、Qiskitを使い量子と古典のリソースを組み合わせることで、科学的に価値のある新しい問題を探求。レンセラー工科大学は、量子を中心としたスーパーコンピューティングに向けて一歩を踏み出す
IBM、Algorithmiq社、Qedma社、QunaSys社、Q-CTRL社、Multiverse Computing社が提供するQiskitサービスにより、次世代アルゴリズムの構築方法を簡素化しながらパフォーマンスを向上
【米国ニューヨーク州ヨークタウン・ハイツ - 2024年11月13日(現地時間)発】
IBMは、本日、初開催のIBM Quantum Developer Conferenceにおいて、IBM Quantum Heronプロセッサーを搭載したコンピューターで、記録的なレベルの規模、速度、精度で複雑なアルゴリズムを実行するための量子ハードウェアおよびソフトウェアの進歩について発表しました。
最も高性能なIBMの量子プロセッサーであり、IBMのグローバルな量子データセンターで利用可能なIBM Heronプロセッサーは、Qiskitを活用することで、最大5,000回の2量子ビットゲート操作で、特定クラスの量子回路を正確に実行できるようになりました。ユーザーは、今後、この機能を利用して、量子コンピューターが材料、化学、生命科学、高エネルギー物理学といった様々な科学的問題にどのように取り組むことができるかについての探求を広げることができます。
これにより、IBM Quantum開発ロードマップにおけるマイルストーンの達成が継続し、IBMとそのパートナーが量子優位性と2029年に向けて計画されている先進的なエラー訂正された量子システムに向けて前進する中で、量子ユーティリティーの時代をさらに前進させます。
IBM HeronとQiskitの総合的な改善により、ユーザーは最大5,000ゲートの特定のミラード・キックト・イジング量子回路を実行できるようになります。これは、IBMが2023年に実施した量子ユーティリティーの実証において正確に実行されたゲート数のほぼ2倍に相当します。これにより、IBMの量子コンピューターの性能が古典的な総当たりシミュレーション手法の能力を超えてさらに拡張されます。Nature誌に掲載された2023年の量子ユーティリティー実験では、データ・ポイントあたりの処理時間が合計112時間という結果が実証されました。同じデータ・ポイントを使用し、最新のIBM Heronプロセッサーで実行した同じ実験は、2.2時間で完了します。
さらにIBMは、Qiskitを世界で最も高性能な量子ソフトウェアに進化させ、開発者が、安定性、精度、速度を備えた複雑な量子回路をより容易に構築できるようにしました。これは、 IBMが主にサードパーティーによる1,000のテストでQiskitを測定するために使用したオープンソースのベンチマーク・ツールであるBenchpressを使用して収集された結果によって証明されており、他のプラットフォームと比較して最も性能が高く、最も信頼性の高い量子ソフトウェア開発キットであることがわかりました。
IBMフェロー 兼 IBM Quantum バイス・プレジデントのジェイ・ガンベッタ(Jay Gambetta)は、次のように述べています。「当社のハードウェアとQiskitの進歩により、ユーザーは先進的な量子リソースと古典的スーパーコンピューティング・リソースを結合させて、それぞれの強みを組み合わせることができる新しいアルゴリズムを構築できるようになりました。エラー訂正された量子システムに向けてロードマップを進める中で、今日、さまざまな業界で発見されたアルゴリズムは、QPU、CPU、GPUの統合によって現実化される新しい問題を解決する可能性を実現するための鍵となります」
次世代アルゴリズムの開発を促進する新しいソフトウェア・ツール
IBM Quantum Platformは、生成AIベースの機能やIBMのパートナーが提供する新しいソフトウェアを含む新しいQiskitサービスによって選択肢をさらに拡大しており、科学的研究向けの次世代アルゴリズムを構築するために、業界を超えた専門家のネットワークが拡大しています。
これには、以下のツールが含まれます。
- AIを使用して量子ハードウェアの量子回路の効率的な最適化を支援するQiskit Transpiler Service
- 開発者がIBM Graniteベースの生成AIモデルを使用して量子コードを生成できるように支援するQiskit Code Assistant
- 量子および古典システム全体で初期の量子を中心としたスーパーコンピューティング・アプローチを実行するQiskit Serverless
- IBM、Algorithmiq社、Qedma社、QunaSys社、Q-CTRL社、Multiverse Computing社のサービスを利用して、量子ノイズのパフォーマンス管理の削減や、量子回路の複雑さを抽象化して量子アルゴリズムの開発を簡素化するなどの機能を提供するIBM Qiskit Functions Catalog
Algorithmiq社のCTOであるマッテオ・ロッシ(Matteo Rossi)氏は、次のように述べています。「IBM Qiskit Functions Catalogから入手可能なAlgorithmiqのテンソル・エラー・ネットワーク軽減アルゴリズム(TEM)は、量子を中心としたスーパーコンピューティング・アプローチに向けたステップを活用することで、ユーティリティー・スケールの量子回路にエラー軽減を提供し、これまでで最も高速な量子ランタイムをユーザーに提供します。量子コンピューターとGPU上の後処理を組み合わせるという最近の進歩により、最大5,000の量子もつれゲートを持つ回路をサポートします。これは、量子実験を拡大し、複雑な問題に取り組むためのマイルストーンです。これにより、これまでノイズの制限によって制約されていた量子シミュレーションや計算への扉が開かれる可能性があります」
Qedma社のチーフ・サイエンティフィック・オフィサーであるドリト・アハラノフ(Dorit Aharonov)氏は、次のように述べています。「IBMの量子ハードウェアとソフトウェアの進歩は、ユーザーが最も長く、最も複雑な量子回路を実行できるようにするサービスを構築するというQedmaのミッションに不可欠です。IBM Qiskit Functions Catalog内のQedmaのサービスを通じて提供しているエラー軽減に関する独自の成果と組み合わせることで、世界中のユーザーが今日の量子システムでアルゴリズムを構築できるようにし、科学的価値のより正確な結果を達成できるようにするという当社のミッションをさらに推進できることを楽しみにしています」
Qiskitがコンピューティングの未来に向けて量子と古典の統合を促進
ハイパフォーマンス・コンピューティングの次の進化として、IBMの量子を中心としたスーパーコンピューティングのビジョンは、並列化されたワークロードを実行する先進的な量子コンピューターと古典コンピューターを統合して、高性能なソフトウェアで複雑な問題を簡単に分解し、各アーキテクチャーが最適なアルゴリズムの一部を解決できるようにすることを目指しています。このようなソフトウェアは、問題をシームレスかつ迅速につなぎ合わせるように設計されており、各コンピューティング・パラダイム単独ではアクセスできない、もしくは困難なアルゴリズムを実行できます。
日本の国立科学研究機関である理化学研究所と、ユーティリティー・スケールのIBM Quantum System Oneを敷地内に設置している学術医療・生物医学研究機関であるクリーブランド・クリニックは、化学の基礎となる電子構造問題のアルゴリズムを探求しています。
これらの取り組みは、歴史的にフォールト・トレラントな量子コンピューターが必要と考えられてきた複雑な化学・生物学的システムを現実的にモデル化するための、量子を中心としたスーパーコンピューティング・アプローチに向けた第一歩です。
これらのタイプのワークフローの初期の例が、量子コンピューターからの個々のサンプルの並列古典処理に基づく方法です。IBMと理化学研究所の研究者は、QunaSysのQSCI法などの先行技術をもとに、量子を中心としたスーパーコンピューティング環境でサンプルベースの量子対角化を実行しました。これにより、量子ハードウェアを利用して、自然界や有機系に広く存在する化合物である硫化鉄の電子構造を正確にモデル化できました。
現在、デプロイ可能なQiskitサービスとして利用可能になり、この同じ手法がクリーブランド・クリニックによって活用されており、多くの化学、生物学、薬学の科学プロセスに不可欠な分子間の結合である非共有相互作用の量子を中心としたシミュレーションの実装にどのように使用できるかを探求しています。
クリーブランド・クリニックのチーフ・リサーチ・インフォメーション・オフィサーであるララ・ジェヒ(Lara Jehi)医学博士は、次のように述べています。「この研究は、IBMの次世代テクノロジーとクリーブランド・クリニックの世界的に有名なヘルスケアおよびライフサイエンスの専門知識を結集し、両社の研究パートナーシップを成功に導いた一例です。私たちは共に、Qiskitのような最先端テクノロジーを使用して従来の科学の限界を押し広げ、世界中の患者のための研究を進め、新しい治療法を発見しています」
クリーブランド・クリニックの量子分子科学者であるケニー・マーズ(Kennie Merz)博士は、次のように述べています。「IBMのパートナーとともに、IBMの先進的な量子コンピューティング電子構造アルゴリズムを活用して、クリーブランド・クリニックの敷地内に設置されているIBM Quantum System Oneで、初めて分子間相互作用を研究することができました。これは、将来の創薬や医薬品設計への応用の可能性にとって重要です」
理化学研究所計算科学研究センター 量子-HPC連携プラットフォーム部門長の佐藤三久博士は、次のように述べています。「理化学研究所計算科学研究センター(R-CCS)は、スーパーコンピューター『富岳』と、IBM Quantum Heronプロセッサーを搭載したオンプレミスのIBM Quantum System Twoを統合し、量子-HPCハイブリッド・コンピューティング・プラットフォームの構築を目指す『Japan High Performance Computing-Quantum(JHPC-Quantum)』プロジェクトを実施しています。量子ユーティリティーの時代において、この新しいコンピューティング・アーキテクチャーへの第一歩として、私たちのプラットフォームを使用して量子を中心としたスーパーコンピューティング・アプローチを実証するという取り組み目標を強く支持します」
さらに、レンセラー工科大学(RPI)は、Qiskitのツールを使用して、IBM初の量子を中心としたスーパーコンピューティングの実現を大学のキャンパスで構築するための最初のステップを踏み出しています。 RPIとIBMは、高性能なソフトウェアを使用して、RPIのキャンパスにあるAiMOSクラシック・スーパーコンピューターとIBM Quantum System Oneのワークロードを、標準的なハイパフォーマンス・コンピューティング・リソース・マネージャーによって管理される単一の計算環境に接続することを目指しています。
レンセラー工科大学のプレジデントであるマーティン・A・シュミット(Martin A.Schmidt)博士は、次のように述べています。「今年初めにRPIキャンパスでIBM Quantum System Oneを公開して以来、RPIは量子システムとスーパーコンピューター『AiMOS』を連携させる取り組みを開始し、新たな重要な第一歩に向けた歩みを始めました。本日の発表は、IBMとの長年にわたるパートナーシップの証であり、量子コンピューティングとスーパーコンピューティングの組み合わせと同様に、RPIとIBMの2つの研究機関が協力することで、今後数年間でエキサイティングなブレークスルーを推進します」
当報道資料は、2024年11月13日(現地時間)にIBM Corporationが発表したプレスリリースの抄訳をもとにしています。原文はこちらを参照ください。
IBM、IBM ロゴ、ibm.comは、 米国やその他の国におけるInternational Business Machines Corporationの商標または登録商標です。他の製品名およびサービス名等は、それぞれIBMまたは各社の商標である場合があります。現時点での IBM の商標リストについては、ibm.com/trademarkをご覧ください。
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