産業春秋／マスク氏が米「政府効率化省」トップに

米国の実業家イーロン・マスク氏の新たな人事が決まった。トランプ米次期大統領が１２日（現地時間）、新組織「政府効率化省」のトップに同氏を起用すると発表した。新組織は政府に助言する外部機関で、過剰な規制の緩和や歳出削減を推進するという。

新組織はマスク氏と、米国の実業家ビベック・ラマスワミ氏が率いる。ラマスワミ氏は今回の大統領選で共和党から立候補し、予備選撤退後はトランプ氏を支持。連邦政府職員の７５％解雇に言及したこともあるという。

そしてマスク氏。米政府支出を「少なくとも２兆ドル（３１０兆円）は削減できると思う」と豪語する。バイデン政権が進めてきたＩＴや人工知能（ＡＩ）への規制が振り出しに戻ってしまうのか気がかりだ。

トランプ氏は外交をビジネス感覚で捉え、２国間のディール（取引）で国益を狙う政治スタイル。行政や歳出構造も民間の視点で改革するらしい。建国２５０年に当たる２０２６年に政府機関を改革する目標を掲げる。

米国の財政健全化が進めば米長期金利が低下し、為替相場はドル安・円高に振れやすくなる。貿易赤字を「損失」と捉えるトランプ氏による今回の人事は、ドル安誘導も狙っている？