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「来春、幼稚園・保育園・こども園などへ入園するなら、今すぐリサーチして見学・説明会へ!」 猪熊弘子さんインタビュー

(2018/10/11)

カテゴリ:商品サービス

リリース発行企業:株式会社 内外出版社

「来春、幼稚園・保育園・こども園などへ入園するなら、今すぐリサーチして見学・説明会へ!」 猪熊弘子さんインタビュー

来年の4月、幼稚園や保育園やこども園などに入園するお子さんのいる保護者のみなさん、いつから何をしたらいいのか、どんな基準で選べばいいのか迷っていませんか? そこで、書籍『子どもがすくすく育つ幼稚園・保育園』の電子版の発売を記念して、著者のお一人である猪熊弘子さんにお聞きしました。





猪熊弘子 寺町東子 著
『子どもがすくすく育つ幼稚園・保育園』電子版発売!

「幼稚園と保育園はどう違う?」「幼児教育で大切なことは?」「早期教育は必要?」「安全面はどこをチェックすべき?」「保護者にできることは?」など、教育面はもちろん、建物や園庭や先生方の環境面、安全面、子どもの命と育ちを守るために保護者と保育者にできることまで丁寧に解説。乳幼児の保護者、必読の書です。


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――いつ頃から活動したらいいのでしょうか?
保育園の場合、入園時期は4月からとは限らないので、早い方は妊娠中から見学を開始しているようです。4月に入園しようという方なら、幼稚園も保育園もこども園も、夏から秋口には見学を始める方が多いでしょう。地域や施設によって違いますが、幼稚園は9月、10月に説明会を行い、11月1日から申し込み開始になるのが一般的。認可保育園は自治体によって随分違いますが、11月頃には申し込みが始まるところもあります。ですから、来年4月の入園を希望されている場合は、今すぐに情報を集め、見学や説明会などに行ったほうがいいですね。


――両親が働いているけれど、保育園より幼稚園の方が良いのではないかという声をよく聞きます。幼稚園のほうが特色のある園が多いような気もするのですが……。
今でも「保育園は保育、幼稚園は教育」と思っている方もいますが、じつは幼稚園・保育園・こども園での教育的なねらいは同じです。どこでも同じように「遊びを通して学ぶ」ということを目指すことになっています。幼稚園のほうが教育内容に特色を打ち出しているところが多いかもしれませんが、幼稚園でも保育園でも、問題はその「教育」の中身です。「〇〇式」などと呼ばれる早期教育や、英語での教育などは親には見栄えが良いかもしれませんが、幼児の発達から考えるとむしろ逆効果なこともあります。


――幼稚園でも保育園でもこども園でも、見学は必須でしょうか?
できれば、申込み前に見学に行ったほうが安心です。なぜなら、子どもの育ちや命がかかっているからです。中にはよくない幼児教育・保育施設もないとは言えません。幼稚園でも保育園でもこども園でも、公立でも私立でも、認可であっても無認可であっても、どこも同じ目線で見学した方が良いです。できる限り保護者が自分の目で保育を見て判断してほしいと思います。ただ乳幼児を抱えて見学に通うのは大変ですから、夫婦やご家族で手分けをしても良いでしょう。


――見学ではどういうところを見たらいいでしょう?
まず、実際に子どもたちが活動する保育室の中を見せてもらってください。見せてくれない園は問題外です。よい園は、子どもたちがオモチャなどを出していて多少雑然としていても、基本的にきれいに整えられ、掃除も行き届いているはずです。床や棚などが汚れていたり、保育に使う物や絵本などの整理整頓ができていなかったりする園はよくありません。また先生が目を合わせてあいさつをしてくれることも大切です。それから、先生の声が大きすぎないこと。子どもの声が聞こえず先生の声だけが聞こえる園は、子どもたちを従わせる保育をしている可能性が高いでしょう。子どもたちがおどおどしたり、萎縮したりしておらず、のびのび過ごせているかどうかも大切ですね。


――建物や立地も大切だと聞きますが、どういうところですか?
特に都市部では保育園の数が足りず、どんどん新設園ができています。庭がないのはもう当たり前になってしまっていて、電車や道路の高架下や雑居ビルの1室など、昔は認可されなかった場所にできることもあります。当たり前のことですが、子どもは「物」ではありませんから「箱」を作ってどんどん入れればいいというものではありません。このことは本に詳しく書いたのですが、たとえば建物自体が古くても、耐震基準をクリアしていれば問題ありませんが、高架下では騒音が気になりますし、雑居ビルでは日照が十分でなかったり、店舗など他の入居者との兼ね合いや災害時の避難も心配です。大きな道路に直結している場合は事故のリスクがあります。それから子どもにとって毎日身体を動かすことは大切ですから、できれば園庭がある方がいいと思います。


――特に都市部の保育園は選べないこともあって、ここに預けるかどうかというところから迷ってしまいそうですね。
そうなんです。本当にその施設に預けてもよいかどうかという判断は難しいと思います。しかし、十分に育休をとれない会社で働いている場合もあるでしょうし、経済的に厳しい場合もあるでしょうから、両親ともに働かなければならない場合もあるでしょう。シングルの親ならなおさらです。「預けるくらいなら仕事をやめたらいい」なんて言えません。それぞれの親には、それぞれの事情があります。それでも「親の便利は、子の不便」だということは覚えておいてください。大切なお子さんの身に何かが起きてからでは遅いので、ただ自宅に近いところに決めるのではなく、一度は子どもの目線で考えてください。親が働くために便利な施設かどうかではなく、そこで過ごすことが子どものためになることを考えてほしいのです。保育施設は子どもが毎日長時間過ごす場所です。


――認可保育園の申し込み時は、希望園をたくさん書いたほうがいいですか?
よく聞かれることですが、これも難しいですね。今は東京都内なら10園以上希望の園を書けるところもあります。絶対にどこかに預けたいという場合は、できるだけたくさんの保育園を書いたほうがいいかもしれませんが、実際には、あまりよくないと思っていた園を最終希望園として書いたらその園に決まってしまい、あとで後悔していた方もいました。「ここはどうしても嫌だ」と思う園は、書かないほうがいいと思います。


――認可保育園や認定こども園は競争率が高くて入れなそう…と困っている人はまだまだたくさんいます。どうしたらいいでしょう。
もしも育休を延長することが可能なら、思い切ってとって休むというのも選択肢の一つです。それまでお母さんが育休を取得していたなら、交代してお父さんが取得するという手もあります。認可外を選ぶ場合には、まず東京都でいえば認証保育園など、自治体の助成で運営している園を調べる、それから完全な認可外施設を調べてみてください。最近では「企業主導型」という認可外施設も増えて来ました。認可外でもいい園はありますが、残念ながら認可より事故が多いのは事実なので、しっかり確認することが大切です。評判の悪い園は確かにあるので、ネットの情報だけでなく、近所のママたちの口コミなども聞いてみるとよいと思います。


――猪熊さんご自身が、いま小さなお子さんがいて待機児童だったら、どうしますか?
私自身はフリーランスで育休を取れなかったのですが、もし会社員なら、まず育休の延長を検討します。もし延長が難しければ、自治体の責任が重い順に当たっていくと思います。つまり、認可保育園、認証保育園(東京都の場合)、企業主導型など、完全な認可外という順番ですね。そして、見学に行くのはもちろん、自治体や都道府県の福祉局事務所のサイトで公開されている、立ち入り調査や第三者評価の記録を見ます。特に認可外の立ち入り調査で繰り返し同じ不備を指摘されている園はよくありません。それから、近所の年上のお母さんやお父さんに園の評判を聞いてみます。これは私の子どもが実際に待機児童だったときにやった方法ですが、4時とか、夕方早めの時間に園の前にお散歩に行ってみて、お迎えが終わって出て来た保護者の方に「この園に入りたいのですが、どんな感じですか?」と聞いてみると良いと思います。クチコミは意外と参考になりますよ。


――子どもが3歳以上なら、幼稚園の預かり保育という手もありますね。
そうそう、近年は働くお母さんに理解のある幼稚園も増えてきています。働く時間が比較的短い場合には、幼稚園の預かり保育を利用するのも一つの方法です。その場合には、普段、給食なのかお弁当なのか、土曜日の保育や、夏休みや冬休みの長期休暇の期間に保育があるか、そのときに給食があるかどうかなどを確認してみてください。幼稚園の申込みはもうすぐ11月1日ですから、急いで調べてくださいね。


――最後に保護者の方へのメッセージをお願いします。
生まれたばかりの赤ちゃんとのんびり過ごす間もなく、赤ちゃんを抱えて保育園を探すのは大変だろうと思います。同じように子どものためにと幼稚園を探すのも悩みますね。逆説的かもしれませんが、自分の家族の中で最低限はずせない条件をよく考えたうえで、選択肢や可能性を増やしながら諦めずに探してみてください。また、なぜか保活はお母さんがやるもの、になってしまっています。むしろお父さんにもがんばってほしいところです。そして、本の中に詳しく書きましたが、入園したら親としての活動は終わりではありません。むしろそこからが始まりです。保護者の方が園と協力して、一緒によい幼稚園・保育園・こども園を作っていくという姿勢が重要です。園と保護者とが互いに理解しあい、先生方と上手く連携して、子どもたちにとってよりよい環境づくりを考えてみてください。




猪熊弘子(いのくま ひろこ)1965年横浜市生まれ。ジャーナリスト、名寄市立大学特命教授、東京都市大学客員教授。お茶の水女子大学大学院 博士後期課程(保育児童学領域)在籍中。教員免許(中高)、保育士資格所持。

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