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『すぐそこにある暴力』-家庭や学校、地域の中で起きている子どもへの暴力の現状【プレスリリース】

(2017/11/1)

カテゴリ:その他

リリース発行企業:公益財団法人日本ユニセフ協会

『すぐそこにある暴力』-家庭や学校、地域の中で起きている子どもへの暴力の現状【プレスリリース】

ユニセフ新報告書を発表


「すぐそこにある暴力(A Familiar Face Violence in the lives of children and adolescents)」
【2017年11月1日 ニューヨーク 発】

ユニセフ(国連児童基金)は本日、子どもへの暴力に関する新たな報告書を発表。生後12カ月の幼い子どもも含めて、驚くほどの数の子どもたちが暴力を経験し、彼女ら・彼らの世話をする立場のおとなから暴力を受けているケースも少なくないことを明らかにしました。

「世界中の子どもたちに被害が及んでいることは、とても憂慮すべきことです」とユニセフ本部こどもの保護部門チーフのコーネリアス・ウィリアムズは言います。「赤ん坊が顔を叩かれる、子どもたちが性的行為を強要される、若者が自分が住む街の中で殺されるなど、子どもたちに対する暴力は、誰にでもまたあらゆる場所で起きています」

ユニセフの報告書「すぐそこにある暴力(A Familiar Face: Violence in the lives of children and adolescents)」は、最新のデータを使い、子どもたちが子ども時代のすべての段階、またあらゆる場面において暴力を経験していることを示しています。

幼い子どもに対する家庭内の暴力:

データが入手可能な94カ国では、2歳から4歳児の4分の3にあたる約3億人が、家庭内で養育者から、精神的虐待および/または身体的な体罰を受けている
30カ国のデータによれば、1歳児の約10人に6人が、日常的に暴力的なしつけを受けている。うち、詳細データが入手可能な29カ国では、ほぼ4人に1人が、身体を揺さぶられ、ほぼ10人に1人が顔、頭、耳などを叩かれている
50カ国のデータによれば、5歳未満児の4人に1人にあたる1億7,600万人が、夫や交際相手から暴力を受けている母親と共に暮らしている
6億人以上の5歳未満児は、家庭での体罰が完全には禁止されていない国に暮らす(日本は部分的に禁止されている国、に含まれています)


若者に対する性的暴力:

50カ国のデータによれば、15歳から19歳の女子約1,500万人が、強制的な性交あるいはその他の性的暴力を受けたことがある
30カ国のデータによれば、性的暴力を受けた女子の1%のみが、専門的な支援を求めたとしている
データが得られた28カ国を平均すると、性交を強要された経験のある女子の90%が、最初の加害者が身近な人物であったとしている。6カ国のデータによれば、男子に対する性的暴力の加害者として最も頻繁に挙げられたのは、友人、同級生および交際相手であった


若者に対する殺人:

世界で、7分に1人の割合で10代の若者が暴力的行為により殺害されている
米国では、10歳から19歳の非ヒスパニックの黒人男子は、同じ年齢層の非ヒスパニックの白人男子に比べて殺害される可能性が約19倍高い。非ヒスパニックの黒人男子の殺人による死亡率を全国に適用すると、米国は世界で最も殺人・集団的暴力による死亡率の高い10カ国の1つとなる
2015年の米国の黒人の10代の男子が殺害されるリスクは、紛争に見舞われている南スーダンの集団的暴力で死亡するリスクと同じレベルであった
ラテンアメリカとカリブ海諸国地域は、若者の殺人による死亡率が増加した唯一の地域。2015年の若者に対する殺人の半数近くがこの地域で発生した


学校内の暴力:

学齢期の子どもの半数にあたる7億3,200万人は、学校での体罰が完全には禁止されていない国に暮らす(日本は禁止されている国に含まれています)
世界で1億3,000万人(約3人に1人)の13歳から15歳の子どもが、いじめを経験している(日本については、18%という数値が掲載されていますが、データの出所が異なるため左の数字には含まれていません)
過去25年間に発生し記録のある学校内での発砲事件のうち、4件に3件は米国で起きている



ユニセフが支援する学校で学ぶ男の子。ギャングによる暴力で父親と叔父を亡くし、母親とも離れて暮らす。(ホンジュラス)2016年4月撮影(C) UNICEF_UN076695_Amaya
ユニセフは、あらゆる活動において子どもへの暴力を終わらせることに優先的に取り組んでいます。政府に対し、暴力の影響を受けた子どもに対するサービスの改善、子どもを守るための政策や法律の策定を支援し、地域社会や親や子どもたちには、子育て研修や家庭内暴力に対する活動などの実践的なプログラムを通して、暴力の予防を支援しています。

ユニセフは各国政府に対して、子どもに対する暴力撤廃のためのグローバル・パートナーシップ(GPeVAC)等とともに推奨している戦略に基づき、緊急に以下のような行動を取るよう求めています。

教育、社会福祉、司法および保健分野が連携し、地域や子どもたちとも協力して、子どもに対する暴力を終わらせるための国家計画を確立すること
おとなの行動を変え、子どもに対する暴力を助長している以下のような要因に取り組むこと:経済的・社会的格差、暴力を容認する社会的・文化的規範、不十分な政策や法整備、被害を受けた子どもに対するサービスの不足、暴力の予防や対応を行う効果的な制度構築への不十分な投資
暴力的な行動を減少させ、格差を是正し、銃などの武器の入手を制限する政策に重点を置くこと
暴力を経験した子どもたちに専門機関等を紹介し、カウンセリングおよび治療的ケアを提供できる制度を構築しそれに携わるソーシャルワーカーを育成すること
子どもたち自身、親、教員そして地域の人々があらゆる形態の暴力を認識できるように教育・啓発し、彼らが暴力について声を上げ、安全な方法で報告できるようにエンパワーすること
子どもに対する暴力に関する細分化されたより良いデータを収集すること


注:本報告書には、上で特記した項目以外には、日本のデータは含まれていませんが、来年1月発行予定の日本語版には、専門家の解説とともに可能な限り日本の情報を掲載する予定です。

* * *

■ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。(www.unicef.org)
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する34の国と地域を含みます
※ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています

■日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国34の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 (www.unicef.or.jp)

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