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【PR】創刊100周年特集

(2015/11/30 05:00)

  • 鉄世界 大正9年1月1日 第2輯

  • 万国工業会議時の英文特別号 表紙

  • 昭和10年7月1日 自動車祭 東京

■鉄世界、新聞型で空前の144ページ元旦号を発行(1920年)

日刊工業新聞の母体である「金属工業 鉄世界」の1920年(大9)元旦号は、144ページという大冊だった。当時、鉄世界は雑誌型から新聞と同型の新聞型に変更。月5回の発行になっていた。新聞型の同号の発送時の総重量は6万4460貫(約242トン)に上った。

内容は、12ページごとの特集構成とし、各特集の冒頭に大臣・名士との面談写真・会見記などを掲げた。本社の創業者である主幹の近藤義太郎が面談した相手は、大隈重信侯爵、渋沢栄一子爵、山本達雄農商務大臣、野田卯太郎逓信大臣、中橋徳五郎文部大臣、早川千吉郎三井合名会社副理事長らであった。大阪実業界の重鎮、片岡直輝大阪工業会会長の談話「物質主義の害毒」も掲載している。

そのほかの記事としては、今でいう立体駐車場である「摩天自動車庫」の紹介、ドイツの工業といった海外産業動向記事があり、日本の製鉄業界技師による「米国製鐵界縦断記」がある。

また、企業解剖、大阪砲兵工廠(こうしょう)といった工場解剖、大阪築港の回顧、労働問題などに関する記事が掲載されている。変わりどころでは、歴史・恋愛小説や「仲居の見たる鉄商、鉄工所社員、番頭」の記事が掲載された。

広告の中には、工場の写真を掲載し、生産品目を告知するものも見られ、そうした写真から歴史を垣間見ることができる。

■東京で開催の万国工業会議に積極参画(1929年)

きのう(29日)から12月2日まで、世界工学団体連盟(WFEO)が中心となった「第5回世界工学会議」が日本学術会議、日本工学会などとの共催で京都で開かれている。

日本工学会は1929年(昭4)に東京で「万国工業会議(WEC)」を10月29日―11月7日に開催した。これは、4年に1回開かれる世界工学会議の前身ともいえるもので、日刊工業新聞社はその際、「INDUSTRIALIZED NEW JAPAN―NUMBER SPECIAL ENGLISH edition of The NIKKAN KOGYO SHIMBUN」を発行し、参加外国人技術者・学者などに頒布した。日本工業の現状、関係機関、日本企業の知名度向上に努めた。

WECは、世界の工学関係団体・国際工学団体の連合体であるWFEO創設の契機となった学術会議。米国を中心に、欧州、アジア、南米などから、300人弱のエンジニアが集まった。米国からの参加者は230人(招待者100人を含む)を超えた。

INDUSTRIALIZED NEW JAPAN―NUMBERは220ページ。本文は100ページ強だが、農業を含む日本の各業界や経済の状況を紹介している。日刊工業新聞に関しても、2ページにわたり、そのユニークな編集方針など説明している。また、企業広告も約90ページ掲載。日本企業にとって、世界の各市場に対する格好な「出窓」となった。

■自動車誕生50周年記念の「自動車祭」を東京・大阪で開催(1935年)

本社はゴットリープ・ダイムラーによるガソリン・エンジンの発明50周年を記念し、1935年(昭10)「自動車祭」を開催した。

まず東京で自動車事故犠牲者慰霊祭(6月29日、日比谷公園旧音楽堂)と自動車祭(7月1日18時から、日比谷公会堂)を開催。大阪では7月28日に天王寺公園で開催した。

慰霊祭では、本社の小西百一常務があいさつ。警視庁、商工省、内務省、陸軍交通学校の関係者、東京自動車業聯合(れんごう)会、東京自動車商組合、全日本小型自動車協会関東支部、警視庁管下各自動車組合、交通安全協会の代表、自動車関連の従業員代表など約100人が参列。交通事故防止の徹底、技術的研鑽(けんさん)などを誓った。

東京の自動車祭(後援・全国自動車業聯合会、東京自動車業聯合会、日本乗合自動車協会、東京乗合自動車業協会、東京自動車商組合、全日本小型自動車協会)は、自動車関連の従業員向け余興大会で、「荒波越えて」「孤狸の達引」「放浪記」の上映のほか、朝日日出夫・日出丸の漫才、柳家金語楼の落語があり、福引も実施。入場者には自動車神社のお守りを贈呈。廊下では自動車に関する歴史写真を展示した。

一方、大阪では、事故犠牲者慰霊祭、「1935年型新車オンパレード」、天王寺音楽堂での同従業員向け納涼余興大会(午前10時―招待券ベース、1万人規模)を開いた。余興は吉本興業部の特選番組、映画「女優と詩人」放映など。入場者には天王寺動物園の入場券も進呈した。

  • 昭和10年1月14日 常設工業陳列館 開設予告記事

  • 昭和24年10月5日 1面 日米技術者交歓会

  • 週刊 経済官庁公報 創刊号(昭和24年6月1日)

■「常設工業陳列館」を開設(1935年)

本社は1935年(昭10)3月、商品の展示・商談のための「常設工業陳列館」を大阪の堂島ビル1階に開設した。約100坪のスペースに200小間ほどの陳列棚を設け、出品の商品を展示した。出品者はカタログ配布のほか、機械の実演会などの催しにも参加可能とした。年中無休で入場は無料だった。

入館者向けに、「商談休憩室」、特許公報など工業図書の無料閲覧コーナーを設けたほか、地方からの来訪者のために宿泊所の斡旋(あっせん)割引、携帯荷物の安全保管、商取引の条件斡旋も行った。

また、一般工業相談、商品相談、法律相談、特許相談、税務相談、満州取引、海外貿易相談、金属相談の各部を本社より工業陳列館に移した。このユニークな工業相談機関への諮問件数は年間約13万に上っていた。

陳列館の開設にあたって標語も募集。その当選作は「一目で判る工業日本」「世界の販路へ導く陳列」「光る陳列、又も商談」「先ず見て取引!」「今日も仕入に陳列館へ」といったものだった。

当初の出品者は、碌々商店、日産自動車、日本ペイント、日本フェルト、大阪瓦斯(ガス)、関西ペイント、高島屋飯田、椿本チエイン、栗田機械製作所、松下電器製作所、神戸製鋼所、光洋精工、旭硝子、神東塗料など100社超(本紙昭和10年7月7日付8ページ)に上った。

入場者数は例えば38年(昭13)5月29日の場合、325人で、カタログ請求が16件、工業相談が59件。ブラジル・サンパウロからの来訪者もあった

■「日米技術者交歓会」の開催(1949年)

工業新聞社は1949年(昭24)2月、商工省工業技術庁(52年に工業技術院に改組、現在の国立研究開発法人産業技術総合研究所)開設1周年記念事業の一環として、10月3日に東京上野・精養軒で「日米技術者交歓会」を主催した。米国側の出席者は、GHQ経済科学局科学技術課長のH・C・ケリー博士、科学技術部のE・C・アレン大佐ら、日本側は、工業技術庁の井上春成長官、仁科芳雄科学研究所長、倉田主税日立製作所社長、河田重日本鋼管社長、田代茂樹東洋レーヨン社長(日本化学繊維協会理事長)、安田幾久男日本軽金属常務(軽金属協会会長、後の社長)、福田豊東光電気社長らで、民間の参加者は約200人に上った。

この会で、ケリー博士は「いまの日本にとって技術こそ最大の輸出品である。このために工業新聞が業界と産業界、技術と経済の中和、調整に努力されていることに深い敬意を表し、GHQも、同社の活動に全面的に協力する」と述べた。レック氏は、工業振興の上で標準規格の重要性を指摘した。

このほか、仁科博士、倉田日立製作所社長、河田日本鋼管社長、田代東洋レーヨン社長、安田日本軽金属常務、福田東光電気社長が日米技術の交流、GHQの産業・技術政策に対する意見、要望などについて発言した。

日米双方、特にGHQにとっては占領政策上大いに参考になったようで、主催者側の増田顕邦工業新聞社社長はGHQ当局から感謝された。

■「経済官庁公報」の創刊(1949年)

工業新聞社は1949年(昭24)6月1日に週刊の「経済官庁公報」を創刊した。

この週刊紙の目指したところは、官庁の発表文を、無味乾燥な「官報」とは違ったレイアウトで原文のまま報道、実際の仕事に役立つ新聞を目指し、これを読めば官庁への無駄足が省ける、とうたった。

山本高行通商産業次官は「経済官庁公報の発刊を祝す」の談話の中で、通産省は5月25日、ほかの官庁は6月1日からそれぞれ経済九原則の指令に沿って新たな組織と構想とをもって発足することになったとし、「経済関係各省の発表をはじめ公示事項、諸法規、手続等を適宜まとめて掲載」し、「広く民間産業界に便宜を供しようとされることは、誠に時宜に適した企て」とした。

さらに「終戦後新たに制定された経済関係法規手続はおびただしい数にのぼり、更になおその数を加えようとしています、と同時に、既存の法規や諸手続の根本的な或いは技術的な改廃は、縷々(るる)行われている現状であります、しかしながらこれは、日に日に変転する我国の経済情勢に、諸法規手続を迅速且つ適切に即応させるためにまことにやむを得ないことであります。従いまして一般国民なかんずく産業人におかれては、一日も早くこれら新法規並に諸手続に通暁(つうぎょう)されるとともに、その改廃を正確に承知し、これらを充分に活用して業務の運営に資せられるが肝要であろうと存じます」とこの公報への期待を表明した。

  • 国産初の新聞ファクシミリ「日刊工業型」 松下電送 社報

  • 第1回日本産業技術大賞の贈賞式の様子を報じる本紙72年4月4日付

  • 3月23日付の日刊工業新聞紙上での企業動静報道

■新聞ファクシミリ国産1号機を導入―松下幸之助氏も感動(1966年)

「工業立国」を掲げた日刊工業新聞社は、新聞製作面でも国産の高速輪転機の導入を図るなど国内産業の高度化に貢献した。1966年(昭41)4月1日からの大阪支社での印刷開始に伴い導入した新聞ファクシミリも国産第1号機だった。

この国産1号機を開発したのは松下電送の前身の東方電機。同社専務から松下電送社長・会長を務めた木野親之氏は、日刊工業新聞社への同1号機売り込みの事情を、その著『松下幸之助叱られ問答』(致知出版社、99年刊)に書いている。

それによると、東方電機は、トランジスタモーター式の新聞ファクシミリを開発し、64年(昭39)11月に製品発表した。ところが、新聞各社は外国製を導入済みだった。日刊工業新聞社が新聞ファクシミリの導入を計画中と聞きつけ、売り込みをかけた。担当者の意見は外国製導入だったが、同社の社是が「国産振興」だったので、増田顕邦社長にお願いに行き、不具合により稼働しない場合は外国製を購入して納入、と約束した。増田社長は「わかった。では君のところの機械を買う」と言った。後日、木野氏は松下幸之助氏に呼び出され、「増田社長が、命を懸けた約束に感激して発注した」といっていた、といいながら、松下氏から「その約束を実行しないで済むよう頑張ってや」といわれ、涙がこみ上げてきた、と述懐している。

この機械は「日刊工業型新聞ファクシミリ」と名付けられ、稼働。学界、業界から当社のこの決断は称賛された。同機は大河内記念技術賞を受賞。

■日本産業技術大賞の制定(1972年)

本社は1972年(昭47)、「日本産業技術大賞」を創設した。受賞は1点であり、「内閣総理大臣賞」が贈られた。本社が「内閣総理大臣賞」の授与方を申請した際、個々の会社のものに出したことはあまりない、と事務方は難色を示したが、佐藤栄作総理は、「若い技術者及びグループの表彰」を条件に同賞下付を決めてくれた。

第1回「内閣総理大臣賞」の対象は、「群自動制御工作機械システム」で、その共同研究運営委員会と研究グループの7氏(富士通の稲葉清右衛門計算制御部長、池貝鉄工の相原健三工作機械技術研究センター所長、大隈鉄工所の長岡振吉取締役、東芝機械の飯村和雄工作機械製造部長、日立精機(2004年9月破産、工作機械部門の多くはDMG森精機が吸収合併)の一ノ瀬康夫常務取締役、牧野フライス製作所の日々孝取締役、工業技術院機械技術研究所の窪田正男所長)に贈られた。

96年から「審査委員会特別賞」、2001年から「文部科学大臣賞」が追加された。

近年の内閣総理大臣賞は、10年(第39回)が「英国High Speed 1路線向け高速鉄道車両(Class395車両)の開発」(日立製作所)や、13年(第42回)が「東京スカイツリーの建設」(東武タワースカイツリー、日建設計、大林組)、15年(第44回)が「燃料電池自動車『MIRAI(ミライ)』の開発」(トヨタ自動車)で、一般人の間でも話題になる技術が受賞している。

■東日本大震災時、当社Webでの企業の安否速報ニュース4000本に(2011年)

2011年(平23)3月11日の東日本大震災直後から、日刊工業新聞社のウェブ(当時の名称はビジネスライン)で企業情報を掲載し、産業界で大いに役立った。

あの超巨大地震は東北地方だけでなく、産業界全体に計り知れない打撃を与えた。多くの報道機関は当然ながら、津波などの被害状況や人々の安否情報、東京電力福島第一原子力発電所の事故など”大ニュース“を扱った。

そんな中、当社は同日18時過ぎから、東北地方に拠点を置く企業の従業員の安否状況や工場などの被害状況を中心に、震災に伴う企業や自治体、団体などの一次情報も含めビジネスラインで夜通し速報し続けた。本来であればビジネスラインは記者が直接取材したニュースか、役所や企業が発表するニュースリリースの内容を確認した上で掲載する。しかし、安否情報などは一刻を争う。「〇〇会社、数人安否確認できていない」「〇〇工場の生産ライン、大きな被害」といった1―2行の速報を連日100本以上掲載した。

ほどなくしてアクセスが急増。Yahoo!で「震災・企業」などと検索すると、トップ表示に。「わが社の情報掲載を」との依頼も続々と舞い込んだ。さらに数日後からは企業や自治体の義援金情報も別枠で流し続けた。5カ月間上げ続けたこうした速報ニュースは4000本に上った。

(2015/11/30 05:00)

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