[ オピニオン ]
(2015/12/22 05:00)
消費税の軽減税率導入で焦点となった食品の適用範囲で、外食と酒類が除外された。軽減税率を導入する以上、範囲の問題は常にあるが、特に外食では業種・業態によって不公平が生じかねない。政府は企業や消費者に対し、どこまでが軽減税率かの線引きを周知徹底する必要がある。
与党が決定した2016年度の税制改正要綱では、17年4月の消費税10%への引き上げと同時に、外食と酒類を除く加工食品や生鮮食品全般に8%の軽減税率を適用することになった。
外食との線引きが曖昧だった飲食店の出前や宅配ピザ、ハンバーガーや牛丼をはじめファストフードのテークアウト(持ち帰り)は軽減税率の対象になった。一方でショッピングモールなどのフードコートで販売する食品は形態を問わず外食扱い。コンビニエンスストアなどの弁当や総菜は原則として軽減税率だが、イートイン・コーナーでトレーや食器を返却する必要があれば外食とみなし、10%課税になるという。
外食産業の関係者は「牛丼もハンバーガーも、店内か店外かの違いだけで(利用客の気持ちは)同じ外食だ。コンビニ弁当を店内で食べても軽減税率になるのか」と不満を隠さない。いま外食産業はコンビニと垣根を越えた競争に入っている。「これではコンビニが有利だ」というわけだ。
軽減税率導入後、流通の現場では事実上の“一物二価”が存在することになる。実施まで1年半を切った状態のなかで、消費者や関連企業にこの違いを浸透させられるだろうか。店頭でテークアウトの税率が8%適用されているのをみて「なんで店内で食べている自分は10%をとられるのか」と文句を言う客もいるだろう。
政府は各省庁を通じ、軽減税率導入でどんな問題が発生するかの調査を始めたという。その結果を踏まえつつ、10%と8%の区分けを消費者と企業に対して周知徹底する必要がある。また企業の側もテークアウトのメニューを別の料金体系にするなど、消費者が混乱しないような準備を早めに検討してもらいたい。
(2015/12/22 05:00)
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