[ その他 ]
(2016/1/4 05:00)
《増田賞》
【ファナック/協働ロボット FANUC Robot CR―35iA】
■安全柵要らず、人と協調作業■
安全柵で囲わずに、人と同じ空間で協調しながら稼働できる“協働ロボット”。内蔵するセンサーの働きにより、人などに接触すると自動停止し、安全を確保する。最大可搬質量は35キログラム。自動車、産業機械の組み立て工程など、重量物を扱う現場で人を補助することができる。
表面は軟らかい樹脂系の素材で、安全性を強調した仕様。また、従来の黄色いロボットと区別するため、緑を基調とした新機軸のデザインを採用した。国際規格「ISO10218―1」適合の安全認証を取得済み。柵が必要ないため、レイアウトを大きく変えずに導入できる点もメリットだ。
全6軸の垂直多関節型。最大動作速度は標準で毎秒250ミリメートル、別置の安全センサーと連携することで同750ミリメートルまで高められる。繰り返し位置決め精度はプラスマイナス0.08ミリメートル。
《日刊工業新聞創刊100周年記念賞》
【日立製作所・日立ハイテクノロジーズ/ヒューマンビッグデータ/クラウドサービス】
■センサーで「組織活性度」計測、業務改善に■
名札型ウエアラブルセンサーと分析サービスを組み合わせた製品。企業の生産性を左右する要因の一つとされる「組織活性度」を計測することで、業務改善や業務向上などにつなげる組織運営を活性化するツールとして提案する。
個人個人が装着した名札型センサーに組み込まれた加速度センサーで、集団活動での身体活動データを大規模に収集。そのデータを「人間情報分析専用クラウド」に送信・蓄積し、日立が開発した組織ハピネス度予測モデルにより、組織活性度を算出する。
この仕組みを使い、コールセンター業務で組織活性度が平均より高い日は、低い日に比べて電話営業の受注率が34%高いことを実証。組織活性度が組織業務の生産性と相関があることを見いだした。すでに三菱東京UFJ銀行や日本航空などで導入を開始しており、幅広い業界への展開を狙う。
《本賞》
【NEC/IoTを活用した次世代ものづくりソリューション「NEC Industrial IoT」】
■不良発生リスクを検出、作業改善や教育に活用■
画像認識やビッグデータ(大量データ)分析、SDN(ネットワークをソフトウエアで制御する概念)などを活用したソリューション群を体系化した。製品ごとの表面の微細な紋様をもとに個々の個体を識別する世界初の「物体指紋認証技術」や、人工知能(AI)を活用して装置組み立てラインのカメラ映像から作業員の異常作業をリアルタイムに自動検出する「個体認証トレーサビリティシステム」、不良発生リスクをその場で検出・手直しするとともに作業改善や作業者教育に役立てる「異常作業検出システム」などで構成。
収集した製造現場の情報はダッシュボードでリアルタイムに見える化し、経営者など各階層の意思決定を支援する。モノのインターネット(IoT)を活用した「つながる工場」と、そこから生み出される「つながる製品」に貢献する。
【オークマ/5軸制御立形マシニングセンタ UNIVERSAL CENTER MU―4000V―L】
■1台であらゆる加工対応■
旋削もできるテーブルサイズ直径400ミリメートルの5軸制御立型マシニングセンター(MC)。立型、横型の双方の旋削に加え、研削、ギア加工などの工程集約も実現。1台であらゆる加工をこなす。
主軸は能力が従来比2倍の22キロワット、回転速度が同87.5%増の毎分1万5000回転と、加工能力を大幅に向上させた。最高回転速度が毎分1200回転、旋削加工能力が45C材で3平方ミリメートルという高剛性中型旋盤並みの強力な旋削機能も持つ。テーブルは90度の傾斜が可能で立型、横型の使い分けができる。
また、自動工具交換装置(ATC)による砥石(といし)自動交換で、内径・外径から複雑形状までの研削に対応。スカイビングによるギア加工もサポートする。作業者が無理のない姿勢で工具の取り付けや段取り作業ができるなど、使いやすさも追求した。
【川崎重工業/双腕スカラロボット「duAro」】
■人手作業の現場にそのまま導入可能■
2本のアームを備えた双腕型水平多関節(スカラ)ロボット。作業範囲や専有スペースが人と同程度で、人手作業の現場にそのまま導入できる。電気電子分野の組み立て工程などがターゲット。労働集約型の工程を省人化に導く。
人のすぐ隣で稼働させるため、接触時に自動停止する安全機能が付く。モーターは低出力タイプ。また、人と接触する可能性がある部分には、軟らかい素材を採用している。このため安全柵で囲わずに稼働できる。キャスター付きの台車に本体が載っており、簡単に移設できるのも特徴。状況に応じて柔軟に活躍の場を変えられる。
可搬質量は片腕2キログラムの計4キログラム。アームを作業者が手動で動かし、動作設定できるダイレクトティーチング機能付き。繰り返し位置決め精度はプラスマイナス0.05ミリメートル。
【島津製作所/オンライン超臨界流体抽出/超臨界流体クロマトグラフシステム Nexera UC】
■目的成分抽出から分析まで全自動化■
超臨界流体抽出(SFE)、超臨界流体クロマトグラフ(SFC)、質量分析計(MS)をオンラインで接続して製品化したシステムで、試料中の目的成分抽出の操作から多成分の一斉分析まで全自動化している。SFEユニットに内蔵された二つの高圧バルブによって、SFCへの抽出成分オンライン導入ができる。固体試料の目的成分抽出から分析までを自動化でき、食品残留農薬試験の前処理工程時間などを短縮する。試料抽出容器はSFEのラックに載せるだけで、最大48検体の自動連続抽出を実現するため、人的誤差のない高い再現性を可能にする。
食品中の残留農薬検査や疾患バイオマーカーの探索、医薬品製造工程の品質管理、ポリマー材料中の添加剤など、複雑な前処理が必要な試料や濃縮操作による不安定な試料を扱う分野での活用を見込む。
【新日本工機/横型5軸プロファイラ GHP−200B】
■4トンのアルミ大物部品対応、加工速度高め生産性4倍に■
航空機のアルミ大物部品加工で生産性を従来機比4倍に高める横型5軸プロファイラ。上下方向のY軸周りを旋回するB軸を採用、コーナー加工時に主軸が姿勢を整える動きを減らすことなどで、加工速度を高められる。主軸の出力を1.6倍の120キロワット、トルクを3倍の83ニュートンメートルにそれぞれ強化した。
B軸と、左右方向のX軸周りを旋回するA軸の「A/B軸」構成。一般的な「A/C軸」構成はC軸の移動量が増え、加工時間が長くなる課題があるという。
主軸は毎分3万回転の高速型とした。モーターとアンプを見直し、低回転の毎分1万2800回転で最大出力の120キロワットに達する。各軸は1G(Gは重力加速度)の加減速動作が可能だ。従来比約3倍の毎分60メートルの早送りができる。4トンの加工対象物(ワーク)に対応する。
【大昭和精機/光学ラインセンサ方式工具測定器 ダイナライン】
■先端R形状も確実に測定■
マシニングセンターの中に設置し、主軸回転中に自動非接触で工具測定する装置。工具測定用では初めて相補型金属酸化膜半導体(CMOS)ラインセンサーを採用し、一般的な1軸形状ではなくT字形状にした。これにより、工具径・工具長さなどを効率よく高精度に測定する。
ラインセンサーの高速・高精度を生かし、「スキャニング測定」と名付けた工具移動による測定法も考案。先端R形状の工具でも確実に測定し、工具先端位置が把握できる。工具異常の自動検知が可能になり、高精度・量産部品加工の長時間自動運転を支える。摩耗の激しい加工で工具摩耗量を数値管理することも可能になる。
この分野の測定器は欧州メーカーが主流。ツーリング最大手の大昭和精機はダイナラインにより、工具測定器の分野での世界標準を狙う。
(2016/1/4 05:00)