[ オピニオン ]
(2016/2/12 05:00)
神戸市が設置・管理する神戸空港が16日、開港10周年を迎える。この10年で観光やビジネスの新しい需要を生み、企業進出やコンベンションの誘致に弾みがつくなどの経済効果をもたらした。市は空港の運営権を民間委託(コンセッション)することで、空港の魅力をさらに高める考えだ。
神戸空港からは東京(羽田)など国内6都市へ1日29往復の定期便が運航されている。2014年度旅客数は約244万人で、国内線では全国97空港中15位だった。
空港は市の中心部の三宮まで約8キロメートルと近く、神戸新交通ポートアイランド線(ポートライナー)を使えば18分程度。新神戸駅で新幹線に乗り継ぐこともでき、アクセスのよさが特徴だ。また海上空港であるため、本来なら24時間の利用が可能とされる。
経済効果は多岐にわたる。空港に隣接する人工島ポートアイランドの「神戸医療産業都市」への進出企業・団体は16年1月末時点で313と、05年度末に比べ4倍近くまで伸びた。
一方で重しになっているのが運用制限。神戸空港は05年11月、関西経済界や関係自治体で構成する関西3空港懇談会によって国内線1日60回(30往復)の発着枠と15時間(7―22時)の運用時間の制限を課せられている。近隣の関西国際、大阪国際(伊丹)の両空港との利害調整の結果だ。神戸の旅客数を伸ばし、より利用しやすい空港に発展させるには、この制限の見直しが必要となる。
神戸市は国に何度も見直しを要請してきたが、展望は開けていない。そこで起爆剤として期待しているのが、運営権の民間委託である。市は公募による選定を前提に準備を進めている。
民間委託では関空と伊丹が先行しており、オリックスと仏バンシ・エアポートなどが出資して設立した関西エアポートが4月から両空港を運営する。もし関西3空港の一体運営が実現すれば航空需要そのものを底上げし、神戸の発着枠と運用時間が緩和される可能性が出てくる。そのためには、関西経済全体の活性化につなげるビジョンが必要になるだろう。
(2016/2/12 05:00)