[ その他 ]
(2016/2/12 05:00)
手塩にかけたイチゴやコメが食い荒らされたら、農家はたまらない。ドングリの不作などで里に下りるイノシシやシカなどが増え、農作物被害は全国で年間200億円弱に上る▼県土の半分弱が中山間地である栃木県でも野生鳥獣の被害は深刻だ。一方で捕獲数も増えている。2014年度の県内のイノシシ捕獲数は目標を大幅に上回り、1万3000頭と初めて1万の大台を突破した▼しかし頼みのハンターは高齢化が進み、減少している。県の環境森林部は狩猟の面白さをPRし、出前講座を開くなどの「森の番人」確保育成事業を16年度に拡充する▼道具のハイテク化も進む。イズミ(栃木県小山市)は関東職業能力開発大学校と共同で、カメラや無線端末を搭載した遠隔管理型の捕獲檻(おり)を開発中。また県南東部の茂木町では、センサーや無線によって数頭のイノシシを一度に捕獲する「囲いわな」を遊休農地に設けた▼かつてハンティングは地方の中小企業経営者にとって手軽な趣味だった。若い頃には猟に出たという町工場の社長は「こんなに社会的使命を帯びるとはねえ」と隔世の感を抱く。狩猟シーズンは全国の多くの自治体で15日まで。来季に向けた“人づくり”が欠かせない。
(2016/2/12 05:00)