[ その他 ]
(2016/2/11 05:00)
若いころに「スイヘイリーベ…」と周期表を丸暗記した人も多いと思う。軽い方から並べた元素のトップが、原子番号1の水素である。この“軽いヤツ”が地球の救世主となる▼昨年12月の気候変動枠組み条約締約国会議では、今世紀後半に温室効果ガスの実質排出量をゼロにする目標を盛り込んだパリ協定を採択した。これを守るためには、石油などの化石燃料を燃焼させることが難しくなる▼中学の理科で水の電気分解の実験があった。マイナス極に火を近づけると分解された水素が燃えて水に戻る。水素は水という形で地球上に膨大に存在する無尽蔵の資源といえる▼燃料電池は家庭用コージェネレーションや自動車で実用化されたが、まだ化石燃料から取り出した水素を使うのが一般的だ。これだと水素を製造する過程で二酸化炭素が排出される▼化石燃料の輸入額は年20兆円を超える。原子力発電は低コストだが、廃炉や廃棄物の最終処分など多くの問題を抱えている。こうした従来型エネルギーへの投資を新たな水素生産・貯蔵の研究開発や実用化に振り向ければ、日本はエネルギー大国になれる。それを手がけた企業は世界制覇できる。そんな夢を、若い世代に忘れてもらいたくない。
(2016/2/11 05:00)