[ その他 ]
(2016/4/6 05:00)
新幹線で隣席が外国人観光客という経験は珍しくなくなった。2015年の訪日外国人旅行者は約1974万人(前年比47・1%増)、消費額は3兆4771億円(同71・5%増)だった▼日本は人口減少時代。人口が減れば経済力も低下する。しかし移民受け入れの議論は熟していない。これに代わるのが“超短期移民”ともいえる観光客である。政府は20年の訪日客数目標を4000万人に引き上げた▼もっと積極論もある。英国出身で、文化財修理業の小西美術工藝社(東京都港区)社長を引き受けたデービッド・アトキンソンさんは、30年に8000万人超に増やせると提唱する。そのためには外国人に分かりやすい情報発信や文化施設の見せ方の工夫、滞在・宿泊施設の整備など多くの改善点があるとか▼一方、流行語にもなった日本の“おもてなし”や治安の良さ、列車ダイヤの正確性は、あまり誘客の動機付けにならないとも指摘する。我々にとっては目からうろこだ▼東海道新幹線で見かける外国人の多くは京都で下車する。旅行先が大都市に偏っていることも課題だ。観光資源はむしろ地方の方が豊富なはず。アトキンソンさんの意見を、地方にも伸びしろがあるのだととらえたい。
(2016/4/6 05:00)