[ その他 ]
(2016/4/7 05:00)
中国共産党の7人の最高指導部のうち、習近平国家主席と李克強首相を除く5人が2017年の党大会で引退する。これを補う顔ぶれの中から22年の党大会で次の主席が決まるとあって、水面下で激しい駆け引きが始まった▼習氏が自身に近い後継者を登用するには強い権力が必要。人民日報などを「(マスコミは)党の喉と舌である」と叱咤(しった)して世論の誘導を強める一方、党の統一戦線工作会議で近年の主席以上に思想の引き締めを図っている▼東京大学教授の高原明生さんは「毛沢東時代をほうふつとさせる時代錯誤」と冷ややかだ。こうした“政治の季節”になると中国の政策は、より硬質なものになる懸念がある▼その中国の王毅外相と会談したのが、ミャンマーのアウンサンスーチー外相。民主化の指導者として開明的な印象があるが、最近のスーチー氏は「人相が悪くなって、習近平に似てきた」と現地日系企業の評判はいまひとつ。与党・国民民主連盟の議員に箝口令(かんこうれい)を敷くなど威圧的な姿勢が目立つためだ▼習氏もスーチー氏も、アキレス腱(けん)は自国の経済。不景気で国民生活が苦しくなれば権力基盤は一気に揺らぐ。どんな強権も国民の心までは介入できない。日本も同じことが言える。
(2016/4/7 05:00)