[ オピニオン ]
(2016/5/2 05:00)
熊本地震では、鉄道や水道など社会インフラが深刻な被害を受けた。中でも北九州市から鹿児島市を結ぶ大動脈の九州自動車道が寸断され、物流が途絶したことは地元のみならず他地方の産業にまで影響した▼九州の高速道路整備は大都市圏とは比べものにならないほど遅れている。南北に縦貫するのは九州道だけ。そこから大分道や長崎道などが枝分かれする。災害時に代替輸送ルートが確保できないだけでなく、日常の生活や産業活動の足かせになる▼とくに困っているのは大分と宮崎の両県だ。北九州市から宮崎市まで、車で一般国道を走ると9時間近くかかる。交通インフラの不足は、この地方で企業誘致が進まない最大の要因だった▼まだ余震が収まらぬ4月下旬、両県待望の東九州自動車道が宮崎までつながった。北九州市から大分市を経て宮崎市に至る延長320キロメートル。さらに宮崎道を通じて九州道に接続する。九州第2の大動脈だ▼熊本地震の被害が九州全域に及んだわけではない。被災しなかった観光地まで客足が遠のいていることは残念でならない。福岡・大分・宮崎の直結でアクセスが改善し、脚光を浴びる名所もある。大型連休の後半、陽光おだやかな南国・九州を訪ねてみては。
(2016/5/2 05:00)