[ オピニオン ]
(2016/5/13 05:00)
なんとか支度が間に合った。平年の沖縄の梅雨入りは5月上旬。今年はまだだが、もう湿気を含んだ亜熱帯の重い空気がまとわりつく日々が続いている。赴任初年、スーツにカビを生やした苦い経験から除湿器を購入した。
そんな気候と正反対に雨知らずなのが、主力産業の観光だ。2015年度の入域観光客数は793万人と過去最高だった。訪日外国人の伸長を受けて好調が続きそう。関係機関による観光客の動向予測「観光天気予報」では、直近3カ月は「晴れ」。
航空路線は新規就航が相次ぐ。クルーズ船寄港回数は過去最多の見通しで、寄港地も増える。除湿器を買いに出向いた量販店でもアジア人観光客を多数見かけたが、観光が消費をはじめ地域経済を確実にけん引している。
県はこのほど、観光客と関連産業を対象とした全国初の「観光危機管理実行計画」を策定した。観光への異存が強まるほど災害や事故が発生した時の反動もまた大きくなる。直接的な被害に加えて風評被害の対策も盛り込んだ。
本土の自然災害や海外のテロ、感染症の流行などが起きるたびに沖縄の観光客は大きく減る。計画策定の背景には、そうした教訓がある。晴れている時こそ、万全の”雨対策“が必要だ。
(2016/5/13 05:00)