[ 政治・経済 ]
(2016/5/15 05:00)
(ブルームバーグ)中国経済は4月に再び成長鈍化に転じた。鉄鋼や石炭などの産業の過剰生産能力が重しとなった。
中国国家統計局が14日発表した4月の 工業生産は前年同月比6%増と、3月の6.8%増から伸びが鈍るとともに、エコノミスト予想の6.5%増を下回った。4月の小売売上高も同10.1%増とアナリスト予想に届かず、1-4月の都市部固定資産投資は前年同期比10.5%増と、やはりエコノミスト予想(同11%増)を割り込んだ。
2016年の中国経済は人民元安や資本流出、株価下落など波乱の幕開けとなった後、その後は安定化し、3月以降は新規融資の伸びや住宅市場の回復に主導されて上向きさえしつつあった。
しかし、14日発表の統計が低調な数字となったことは、融資の伸び悩みと相まって、中国経済が危機を脱したとの期待を打ち砕いた。中国最高指導部は、デレバレッジ(債務圧縮)や工業生産能力の向上、過剰生産能力の削減の必要性を強調し、債務や刺激策に支えられた成長からの転換を示唆したばかりだった。
コメルツ銀行の周浩エコノミスト(シンガポール在勤)は、「全てのエンジンが突然、勢いを失った」とし、「引き締め策は短期的な現象にとどまるだろう」と述べた。
国家統計局は統計発表後の声明で、工業生産の伸び鈍化の理由として季節的要因に加え、外需の不振、鉱業部門および鉄鋼や石炭など高エネルギー消費で過剰生産能力を抱える部門の急激な落ち込みを列挙。4月の鉄鋼、石炭両産業の生産が前年同月比でマイナスとなった点を指摘した。
小売売上高を圧迫したのは自動車販売の伸び鈍化だ。国家統計局によれば、4月の自動車販売は前年同月比5.1%増と、3月の同12.3%増から大きく減速した。
(2016/5/15 05:00)