[ オピニオン ]
(2016/6/10 05:00)
クロック(掛け時計・置き時計)は実に壊れにくい機械だ。ゼンマイや振り子の時代はともかく、水晶振動子を使う電池式なら20―30年間稼働はざらだろう。長寿も過ぎれば買い替え需要が低迷する。
最新技術の恩恵を受けようと、思い切って自宅にある数台を電波時計に一新した。設置して分かったのは、都内で意外に電波が届かないこと。窓際なら受信するものの、1メートルも離すと圏外だ。どの機種でも似た結果になるから故障や相性ではない。
日本では情報通信研究機構が、福島県と佐賀県の二つの送信所の標準電波で全国をカバーする。到達力のある長波だし、電波の空いた深夜に受信できればいい。それでも遠方では微弱になり、コンクリート建築の中で受信できないのは、普通のことだという。
困っていたら、窓際で受信した電波を宅内に増幅したり、インターネットに接続して時刻情報を長波に変換したりする装置が商品化されていることを時計店が教えてくれた。やむをえず購入した。
すべての時計が秒針までそろって動くのは、確かに気持ちがいい。とはいえ手頃な値段のはずの電波時計導入に余計なコストがかかったのは残念。今後の技術革新に期待したい。きょうは「時の記念日」。
(2016/6/10 05:00)