[ オピニオン ]
(2016/6/9 05:00)
成田空港で免税店を覗くと、店頭には中国語の販促広告とともに、風邪薬や湿布が大量に並んでいる。店頭で普通に販売される日本の医薬品の一部は、中国人から「神薬」と呼ばれるほど人気がある。
中国人による“爆買い”の恩恵は各所に及ぶ。さほど重くない医薬品は、空港で買うみやげに好適なのだろう。成田の2015年の免税店の売り上げは前年比20%増で、中国人の旺盛な消費を裏付ける。
だが4月の免税売上額は、前年同月比16%減と大幅に落ちた。空港側は「昨秋、羽田空港で中国線が増便されて成田を利用する中国人が減少したため」と説明するが、なんとなくピンとこない。
実は全日本空輸と日本航空の4月の中国路線の旅客数は、約4%減と前年割れ。羽田シフトもあるだろうが、日本を訪れる中国人そのものが減っているようだ。
百貨店や量販店など国内消費の低迷で厳しい事業環境にあった流通業は“爆買い”で息を吹き返した。しかし春先から為替が円高に転じたことで、中国人観光客の購買行動に変化が生じている。さらに来訪者数そのものが減り始めたとしたら、明らかに潮目が変わる。企業はこうした予兆を素早く捉え、次なる手を打っていかなければならない。
(2016/6/9 05:00)