[ ICT ]
(2016/6/22 05:00)
ソフトバンクグループは21日、ニケシュ・アローラ副社長(48)が22日付で退任すると発表した。アローラ氏は2014年に米グーグルからソフトバンクグループ入り。孫正義社長(58)が次期後継者に指名していた。アローラ氏の退任理由について、孫社長は「60歳の誕生日に経営を引き継いでもらうことを考えていたが、まだやり残した仕事がある。少なくともあと5―10年は社長として率いたい」とし、2人で話し合って決めたという。
アローラ副社長は数年のうちにトップに就く意向を示したことから、両者の間に「時間軸のずれ」が生まれたと見られる。ソフトバンクの中でアローラ氏の役割は日増しに大きくなっていただけに、同社の企業統治(ガバナンス)に対する目は厳しくなることも予想される。
アローラ氏は22日に開く定時株主総会で取締役として選任される予定だった。株主向けの招集通知に記載された取締役候補が急きょ退任するのは極めて異例。
アローラ氏は15年から代表権を持つ取締役副社長として海外事業を取り仕切ってきた。15年度の報酬が約80億円だったことも話題になった。これまで海外の投資事業をけん引する一方で、孫氏を説得して中国のネット通販大手アリババ集団や、フィンランドのゲーム子会社スーパーセルの株式売却を決めるなど辣腕(らつわん)を振るってきた。アローラ氏は今後、当面、ソフトバンクグループのアドバイザーとして支援を続ける。
孫社長はアローラ氏と二人三脚で、日本から世界に事業展開する「ソフトバンク2・0」構想を進めていたが、軌道修正を余儀なくされそうだ。海外事業は孫社長が管轄するほか、22日付で宮内謙取締役(66)が代表権を持つ取締役副社長に昇格する見通し。ただ、今後は孫社長への依存と権限の集中が経営リスクになる可能性もある。
(2016/6/22 05:00)