[ オピニオン ]
(2016/7/4 05:00)
再生可能エネルギーで作った電力の固定価格買い取り制度(FIT)が5年目に入った。再生エネの普及を後押しし、コストを下げる効果があった一方で多くの課題も噴出した。問題を早期に解決し、再生エネの普及を継続させる制度作りや技術開発につなげてほしい。
経済産業省によると、2012年7月から16年2月末までの再生エネの累積導入量は2754万キロワット。わずか4年間で、制度開始前に稼働していた再生エネ発電所の総量2060万キロワットを上回った。
14年度時点で電源に占める再生エネ比率は3・2%(水力を除く)となり、10年度から2・1ポイント上昇した。同年度の国内の温室効果ガス排出量は前年度比3%減の13億6400万トンと減少に転じたが、環境省は省エネルギー対策の浸透に加え、再生エネの導入が拡大したことを理由に上げている。
また参入企業が増えて競争が進み、例えば住宅用太陽光発電システムの総費用が11年比で28%下がったことも見逃せない。コスト低減を反映し、買い取り価格も毎年、引き下げられた。
一方で課題も多い。申請によって売電の権利だけを確保し、実際には工事を始めない事業者が問題視された。一部地域では電力会社の受け入れ能力を超える新設計画があり、変更を余儀なくされる事業者も出た。また買い取る電気量の増加に伴い、料金に上乗せする賦課金が上昇していることは、産業界にとって重荷になっている。
経産省は17年度から、大規模な太陽光発電所の新設に入札制を導入する。固定価格ではなく、安い電力を供給できる発電所を電力会社が選べるようにする仕組みだ。FIT先進国のドイツの場合、賦課金を含む家庭の電気料金が日本の1・5倍に膨らんでから固定価格を見直した。日本が早い段階で制度を改めたことを評価したい。
再生エネの導入拡大は、日本のエネルギー自給率の向上や地球温暖化対策の面から避けて通れない。同時に技術革新の起爆剤にもなる。今後も制度を柔軟に見直す姿勢が重要だ。
(2016/7/4 05:00)
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