[ 機械 ]
(2016/8/3 05:00)
【日立住友重機械建機クレーン/テレスコピックブームシリーズ「650TLX」「SDX612」】
組み立て・分解 容易に
3年前、クレーンの品ぞろえに新型機を加える開発が動きだした。吊(つ)り上げに使うブームの伸縮が容易なテレスコピックブームクレーンの投入に向けて、重視したのが組み立てと分解のしやすさだった。開発センタの樗沢淳一主管技師は「(クレーンの)輸送関連の規制が厳しくなることを見据えた」と振り返る。
都市の再開発工事では、老朽化した建物の解体後に埋まっている杭(くい)を引き抜く必要があり、同クレーンの活用が広がっている。開発した「650TLX」はブームを利用して、“自力”でクレーンの機材を吊り上げて装着し、2時間ほどで組み立てられる。組み立てに別のクレーンを利用する場合に比べてコストも抑えられる。現場が狭かったり、移動したりすることが必要な作業に対応しやすくした。
今回は650TLXと車体を共通化した新型アースドリル「SDX612」も同時に開発した。杭の引き抜き後に、アースドリルで地面を掘削し、新たな杭を打ち込んでおり、両機種を展開する効果は高い。しかし、クレーンとドリルでは用途が異なり、吊り上げ性能や油圧の出力など求められる仕様が変わることから、商用化するのは簡単ではなかった。「(吊り上げに使う)ウインチの取り付け位置などを決めるのに苦労した」(樗沢主管技師)という。
両機種のブームの構造が同じでも、SDX612は土砂を持ち上げて排出する際の大きな負荷にも対応できるように設計した。
安定性も徹底している。作業現場で稼働しているクレーンなどが腰高のように見えてしまうと、倒れる不安を感じてしまう可能性がある。重心を低くするのはもちろん、見た目でも安定感を出すことを重視し、近隣住民に配慮している。
市街地の再開発が活発化することが予想されており、650TLXとSDX612のニーズも高まる見通し。輸送しやすい両機種がさまざまな現場で活躍しそうだ。
(孝志勇輔)
(2016/8/3 05:00)
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