[ 機械 ]
(2016/8/8 05:00)
【高速液体クロマトグラフ質量分析計 LCMS―8060/ソフトウエア LabSolutions LCMS】
世界最高レベルの感度
島津製作所は国産初の四重極型高速液体クロマトグラフ質量分析計(LC―MS/MS)である「LCMS―8030」を2010年に発売した。その後、性能を向上させた機種を発売し、15年5月には従来機に比べ感度を2―3倍向上させ、世界最高レベルの感度を実現した「8060」を市場に投入した。製薬会社での品質管理・薬物動態研究や環境調査、食品検査などで活用されている。
質量分析の感度向上には、イオンの生成効率を上げて、できるだけ多くのイオンを装置内に取り込み、イオンをロスなく後の検出器まで運ぶことが重要になる。
LCMS―8060では、高周波四重極イオンガイドの収束効果を向上させ、イオンがガイドの間を効率よく通るようにした。「当社の基盤技術研究所と連携してイオンの軌道計算し、電極を最適化した」(向畑和男MSビジネスユニットマネージャー)。これによりバックグラウンドノイズは有意差が無い程度に抑えられた。
測定しながら正負イオンの切り替えを5ミリ秒で行うことでデータポイントは増える。切り替えが遅いと正・負イオンを別々に測定することにもなる。スキャンスピードも毎秒3万u(統一原子質量単位)と世界最高レベルだ。一度に多成分の計測も可能になる高感度、高速のLCMSはユーザーの研究開発などの効率化に役立つ。
デザイン面では、同社のLCMSシリーズをアピールするためイオンソース部と検出器周辺は黒で統一し、上位機種になるほど黒の割合を増やしている。今回は黒色にもバラエティーを設けた。装置に詳しくないオペレーターの負担を減らすため「イオンソース部をケーブルレス化した」(川合潤デザインユニットチーフデザイナー)という。
発売から1年が過ぎた8060は、今後の主力機種として伸びが期待できる。LCMSシリーズ全体で販売台数は年成長率2ケタ以上を継続させ、国内トップシェアを目指す。
(京都・水田武詞)
(2016/8/8 05:00)
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