[ 機械 ]
(2016/8/9 05:00)
【5軸制御立形複合加工機 VARIAXIS i-1050T】
作業者の負担減に重点
最大で直径1250ミリ×長さ900ミリメートルもの大きな加工対象物(ワーク)に対応する本機は航空機部品の加工を想定して開発した。ゆえに大型で高価な素材を扱う場合が多い。作業者は「ワークをだめにすることを避けたいので、頻繁に加工エリアに出入りをする」(西田貴美技術本部商品開発2部部長)。
作業者が加工エリアに入る際、段差で滑って転んだり、反復動作で体を痛めたりしないように心がけたのが「作業者に負担をかけない設計」(同)だ。
ワークを置くテーブルの近くまで作業者が寄れるよう、機械の前面よりさらに内部に入れるスペースを設置。ワークの設置や工具の確認などが容易にできるようにした。
機械自体のサイズも大きいため、「必要以上に機械を大きくみせない」(安田岳司技術本部商品開発2部グループリーダー)ことにも気を配った。外観は出っ張りを極力排除し、サイコロ形状に仕上げた。内部の機器配置は3次元CADを活用して、設計段階からレイアウトを立体的に捉えて考案。置き場所の制約が比較的低い補機類や周辺機器の配置を工夫し、外形から部品の飛び出しを抑えた。
搭載するコンピューター数値制御(CNC)装置「マザトロール・スムースエックス」が装備する機能「スムース・マシニング・コンフィギュレーション」のデザインも高評価を得た。「加工時間」「滑らかさ」「形状精度」といった加工の要素のうち、何を優先するか。各項目を棒グラフ状で画面に示し、それをタッチ操作で伸縮させると、CNCがそれに見合ったパラメーターを自動調整する。
従来は同社の技術者が出向き、顧客の要望に応じてパラメーターを設定していたが、この機能は「お客がパラメーターを気にせず、速度や滑らかさなどの優先する項目を見た目で選べる」(木村守邦技術本部NCソフト開発部部長)。加工の性格付けが直感的にわかるようにビジュアル化したCNCの画面デザインも、負担減に一役買っている。
(名古屋・江刈内雅史)
(2016/8/9 05:00)