[ オピニオン ]
(2016/8/24 05:00)
東京大学大講堂―通称「安田講堂」の1136席を収めた空間を覆う天井面積は約700平方メートル。建物の骨組みからぶら下がる漆喰(しっくい)塗りの「吊り天井」は1平方メートル当たり100キログラムもあり、大地震で落ちるおそれがあった。
東日本大震災を機に東大は改修に着手。1925年の創建時の意匠を保ちながら耐震性向上を目指した。2014年の工事完了後はガラス繊維で強化した石こう材の採用で同15キログラムに減量。建物の骨組みとも一体化し、落下しにくくなった。
9月1日の防災の日を控えた今週末の27、28日に、安田講堂はじめ東大本郷キャンパスの複数施設を使って内閣府などが主催する「第1回防災推進国民大会」が開かれる。シンポジウムや展示のほかに子ども向け学習プログラムもあり、多くはその場で参加を申し込める。
今年は夏場から、北海道・東北を中心に河川の増水や強風など台風の被害が深刻だ。直撃を受けた首都圏も交通の混乱に悩まされた。自然災害は今も昔も国民生活に重大な影響を及ぼす。
最新技術でしっかり対策した安田講堂は、災害への備えを学ぶ場にふさわしい。もはや天井が落ちる心配をせず安心して聴講できるけれど、いざという時の避難経路の確認は忘れずに。
(2016/8/24 05:00)