[ 政治・経済 ]
(2016/8/31 05:00)
経済産業省は2017年度から、AI(人工知能)を活用した航空機運航支援システムを開発する。悪天候などの際に現状はパイロットが対応している飛行計画変更の判断をサポートし、安全運航を支える。経産省は国産旅客機「MRJ」での実証を想定しているとみられる。熟練パイロット不足への対応や航空機産業振興にもつながる政策として注目されそうだ。
経産省は航空機に搭載する次世代航空機運航システムの実証事業を17年度予算の概算要求に盛り込んだ。航空会社が蓄積した運航データをAIに学習させ「突然の機体故障の際に安全な不時着地点の提示」「悪天候を避ける際に適切な飛行経路オプションの提示」「急病人が生じた際に緊急着陸する飛行場と飛行経路の提示」などを実行する運航支援システムを開発する方針。
事業実施主体は日本の民間航空機メーカーやAI関連企業を想定。MRJを開発する三菱重工業、三菱航空機(愛知県豊山町)が参画するとみられる。MRJが搭載すれば競合のブラジル・エンブラエルやカナダ・ボンバルディアとの差別化要素になる公算が大きい。
格安航空会社(LCC)の拡大により、世界の旅客需要は年率約5%程度の拡大が予想され、民間航空機市場は今後20年でほぼ倍増するとの見方がある。パイロット不足数は年間9000人に達する恐れがあり、熟練パイロット不足に対応した運航支援システムの需要も広がりそうだ。
(2016/8/31 05:00)