[ 機械 ]
(2016/9/15 05:00)
現地統括会社の社長が19年ぶりに交代し、転機を迎えつつあるファナックの米州事業―。その基盤を支えるのが北米市場で圧倒的なシェアを誇るロボット事業だ。現地自動車産業との間で長年育んできた信頼関係を強みに、着々と販売量を伸ばしている。そして今後は航空機など次世代領域もターゲットだ。新たな需要を取り込むべくPRを強化している。
米州を統括する米ファナック・アメリカにとっては、車体の溶接などに使われる多関節ロボットが主力商材だ。現地に工作機械メーカーが少ないため、日本など他地域に比べコンピューター数値制御(CNC)装置の売上比率が低いのが特徴。現地のCNC市場は縮小傾向だが、「ロボットの市場は毎年15%近く拡大している」と、7月にファナック・アメリカ社長に就任したマイケル・ジェイ・チコ氏は好調ぶりをアピールする。
北米ロボット市場におけるファナックの力は絶大だ。ある競合メーカー幹部は「ファナックのシェアが圧倒的で入り込むのは簡単ではない」と舌を巻く。米ゼネラルモーターズ(GM)と合弁会社を設立した1982年の前後から培ってきた実績が、ファナックの強み。信頼性がモノを言う車業界で確固たる地位を築いてきた。
車向けで基盤を確立したファナック・アメリカにとって、次なる成長領域の一つが航空機分野だ。米シカゴで開かれている国際製造技術展「IMTS2016」の会場内、同社のブースでは航空機製造用のロボットが、注目を浴びている。
一例が機体表面を研磨するロボットシステム。可搬質量45キログラムの塗装工程用ロボット「P―350iA/45」が、研磨用の器具を装着し作業するデモを披露している。ファナックの稲葉清典専務も、「米国では航空機産業が非常に大きい」と、さらなる成長を見込む。
車関連の需要は今も拡大しているが、用途がある程度固定化し競争も激化している。このため、永続的発展を目指す上では新分野の開拓が不可欠。航空機やIoT(モノのインターネット)といった領域で、ファナックがどれだけ地位を確立できるかが見どころとなる。
(2016/9/15 05:00)
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