[ オピニオン ]
(2016/9/28 05:00)
クルーズ船を利用して日本を訪れる外国人旅行者が増えている。2015年は前年比約2・7倍の111万6000人と、初めて100万人を突破。外国企業が運航するクルーズ船の寄港回数も前年比約5割増の965回と過去最高だった。ただ問題なのは、港の整備が追いついていないことだ。政府や自治体は受け入れ環境の整備を加速し、地域経済の活性化につなげてもらいたい。
日本ではクルーズ旅行は富裕層を対象とした高額なイメージがある。だが海外では1泊1万円程度で手軽に楽しめるパッケージ旅行が定着している。日本への寄港の増加の主役は、中国などからの船客だ。今後は経済発展が進むアジア各国からのクルーズ客も期待できる。
四方を海に囲まれた日本にとって、クルーズ船の寄港は地域の活性化に役立つ。航路に組み込まれた寄港地には一定頻度で多数の外国人旅行者が訪れる。観光や飲食、買い物で地元にお金が落ちる。寄港をきっかけに新産業が生まれる可能性も出てくる。
一方で、受け入れ側の整備は遅れている。専用バースがある港が少なく、希望しても寄港できないことが少なくないという。最新のクルーズ船の大型化にも対応する必要がある。国土交通省は寄港「お断りゼロ」を目標に、受け入れ環境の整備に乗り出した。これまで貨物船を係留していた岸壁に、クルーズ船用の係船柱や緩衝材の整備を進めている。
また外国の運航会社は港の優先的な利用と同時に、寄港地の旅客ターミナルや商業施設に自ら投資したいという希望を持っているという。こうしたニーズに対して国交省は、自治体などの港湾管理者とそれぞれの運航会社との連携によるプロジェクトを公募する考えだ。
政府は20年までに訪日外国人を4000万人に増やす目標を掲げている。このうちクルーズ船の利用者は500万人を目指すという。寄港候補地の需要をうまく取り込みながら、地域経済の活性化につなげていくことが重要だ。
(2016/9/28 05:00)
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