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[ 科学技術・大学 ]
(2016/10/18 05:00)
NECは4月に中央研究所を組織改編し、「人工知能(AI)」「データサイエンス」「ICT(情報通信技術)プラットフォーム」「セキュリティー」の4コア領域に力を入れる方針を打ち出した。その一環で、デバイスや材料の基礎研究を手がけるつくばの研究所を「IoTデバイス研究所」に改称した。
オープンイノベーションでは、特にAIの研究で東京大学や大阪大学、産業技術総合研究所とタッグを組み、大型資金を投じている。だが、AIはサイバー世界の技術であり、実世界で利用するには社会とつなぐためのデバイスが必要だ。「そこの接点を拡張するのが我々のミッション」と同研究所の萬伸一所長代理は語る。
カーボンナノチューブ(CNT)の発見、超電導体を使った固体量子ビットの世界初の動作実証、DRAMを集積したキャパシターの開発―。かつてこうした革新的な成果がこのつくばの地から生まれた。その後、半導体事業を切り離したことで多くの研究者が去り、また、量子コンピューター関連の最先端研究の部隊も縮小した。
現在は、CNTの応用研究からバイオプラスチック、スピン熱電素子、有機電池など、他社がまねできない独創的な技術開発で存在感を示す。新材料や新原理に基づく、IoT(モノのインターネット)時代を支える多様なデバイス開発に経営資源を集中する。
つくばの地の利を生かし、産総研や物質・材料研究機構、筑波大学とは昔から密に連携してきた。東大には10年前に企業ラボを設け、現在も量子ドットセンサーの共同研究を行う。純粋な理工系だけでなく、農学や医学など多様な専門を持つ人材を採用し、「独自の育成方法で創造的な風土づくり」(萬所長代理)を実践する。
最先端デバイス開発の伝統はしっかりと受け継ぎつつ、事業の変化に伴い、基礎研究でも大胆に変革し挑戦する。将来の社会のあるべき姿から、必要な技術を発掘する「バックキャスティング」視点で取り組む。(藤木信穂)
(火曜日に掲載)
▽主な所在地=茨城県つくば市御幸が丘34▽電話=029・850・1111▽主要研究テーマ=CNT、バイオプラスチック、ナノデバイス、量子デバイス、スピントロニクス素子▽研究者数=約130人
(2016/10/18 05:00)
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