(2016/10/20 00:00)
ビジネス活用 ワンストップ支援
日立システムズは機体の操縦から、撮影した画像の加工・分析、データの保管・管理まで、ドローンの活用に必要な一連の業務を代行する「ドローン運用統合管理サービス」を開始した。厳格な飛行基準やデータセンター(DC)の活用などによる安全な環境の構築、画像編集業務の効率化、他の業務システムとのデータ連携などもサポートする。
厳格な飛行基準 安全性確保
無人飛行機・ドローンのビジネス活用が注目されているが、一般企業が自らの力だけでドローンを業務に活用するのは困難だ。機体の操縦や維持、メンテナンスには専門要員が必要となり、撮影した画像データの加工や分析、データ管理などにも大きな負担がかかる。
このような顧客の悩みを解消するのが、日立システムズが2016年9月から提供を開始した「ドローン運用統合管理サービス」だ。全国約300カ所のサービス拠点と情報システム業務で培ったデータ管理やクラウド技術を生かして、ドローンの活用に必要なさまざまな業務を支援する。
同社が特に重視しているのが安全性の確保と撮影後の画像編集や分析・診断などのデータ加工業務。「当社でもドローン操縦者を育成しているが、飛行だけなら代行する企業はたくさんある。我々の目的は安全に飛ばすことと顧客の本来業務にドローンを生かすことだ」(曽谷英司ロボット事業推進部長)と強調する。
飛行に関しては将来の法整備を視野に入れつつ、(1)当初は第三者の立ち入りができないところからスタート(2)妨害電波などのリスクを事前調査する(3)一定の風速を超えたら飛ばさない(4)1人では飛ばさず、必ず2─3人で現地に行く(5)必ず予備機を持参する─などの独自の内規をつくった。
加工で差異化
また、ドローンの活用では撮影データのほか、加工後の3次元(3D)画像など膨大な容量のデータが発生する。これらのデータを、DCを利用した安全な環境で保管・管理し、機密性の高いデータを流出や改ざん、消失などから守る体制を構築している。
データ加工業務では撮影データから3D画像を生成するデータ加工機能、同じポイントで撮影した画像の変化を自動解析し、異変や劣化を察知する診断機能、世代管理による過去データとの差分抽出など、先進的な解析技術を活用したクラウドサービスを提供する予定。
ドローン活用の最大の課題である膨大なデータを迅速に処理する対策では、日立グループの持つさまざまなノウハウを活用。日立製作所が開発した3D画像を元にした診断機能をはじめ、データの伝送速度を従来比で約5倍高速化する多重化ネットワークや、従来はパソコン専用であった3D画像生成ソフトウエアのクラウド利用などにも目途をつけている。
あらゆる機体で
機体は提携関係にある国産メーカー、エンルート社の製品が中心だが、顧客企業の要件しだいでその他の機種も選ぶマルチベンダードローンサポートの方針で臨む。
同社ではドローンビジネスの第一弾として、16年度は(1)3D測量データの活用などのニーズがある建設業向け(2)野積み保管している鉱物原料などの在庫量の計測を効率化したい鉱山、プラント向け(3)太陽光発電設備や各種電気設備の点検・管理を効率化したい電力、ガス会社向け─などを中心に拡販する。
17年度以降は日立グループ各社をはじめ、ビジネスパートナーとの連携をさらに強化し、金融、保険業向けやインフラ分野向け、運輸、物流業向けなどにも対象を拡大する。18年度に売上高45億円を目指す。
(2016/10/20 00:00)