[ オピニオン ]
(2016/10/21 05:00)
「ミスターラグビー」の突然の退場に、声を失った。神戸製鋼所ラグビー部ゼネラルマネージャーの平尾誠二さんが53歳で早世した。
京都・伏見工業高校では1980年度の全国大会優勝。同志社大学に進み、82年度から大学選手権3連覇に貢献。在学中に当時最年少の19歳4カ月で日本代表に選ばれた。神鋼に入社し、主将に就任した88年度からチーム7連覇。89年の日本対スコットランド戦で、主将として歴史的な勝利に輝いた。
日本代表監督を務めた経験などを生かし、組織論やリーダー論の著書も多い。スポーツ以外の活動の中でも異色なのが、2015年に経済産業省の組織改革研究会のメンバーに選ばれたことだ。
本紙のインタビューでは同省に「本来はすごいチャレンジ精神を持っていた組織。時代とともに『無難に』『安全に』という一般的な官僚になった」と苦言。「変にプライドが入るのを抑えながら、チームとして最大効率化を図ることが求められる」とラグビーにならって提言した。
19年に日本で初めて開くラグビーワールドカップ。そして翌年の東京五輪・パラリンピック。課題が見え隠れする一大イベントでも、華麗なステップワークのような意見がほしかった。合掌。
(2016/10/21 05:00)