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[ 科学技術・大学 ]
(2016/11/9 05:00)
東京大学地震研究所観測開発基盤センターの森田裕一教授らの研究グループは、伊豆大島の地下の浅い部分で発生する極めて小さな火山性地震が、潮の満ち引きや地下にたまるマグマの増加の影響を受けている可能性を明らかにした。伊豆大島に設置している同研究所の観測網で得たデータを分析した結果、地震活動との関係性が見られたという。
こうした傾向は特に2010年以降に見られ、さまざまな観点から地下でのマグマ活動が活発になったと考えられる。森田教授は、「次の噴火まではしばらく時間があると思うが、今後どのような現象が起こり、次の噴火に至るか観察を続けたい」と話している。
伊豆大島は、1986年11月に始まった三原山の噴火が90年頃に終息。その後は静穏な状態が続いている。しかし1―3年の間隔で、急激に地下にマグマが蓄積したことを示すわずかな山体の膨張が起きている。また、これに合わせるかのように、伊豆大島カルデラ内の地下浅部で発生する極めて小さな地震が増えていた。
さらに地震発生のタイミングは、潮の満ち引きといったわずかな力に影響を受ける傾向が見えてきたという。
森田教授は「観測網の安定的な維持が望まれるが、大学には観測点の整備のための国の予算がつかず、いつまでこのような観測が維持できるか不安な状況にある」とし、国の支援を呼びかけている。
地震と潮の満ち引きとの関係性は、地震研究者の間ではよく知られている。11年に東日本大震災を引き起こした東北地方太平洋沖地震の前には、震源域で潮の満ち引きによって起きるわずかな力で地震が発生しやすくなったとした研究もある。
(2016/11/9 05:00)
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